◎トルコの国民、特に人口の大多数を占める低中所得者層はパンとガソリン価格の高騰に苦しめられている。
2022年5月5月/トルコ、首都アンカラのパン屋(Burhan Ozbilici, File/AP通信)

トルコ中央銀行は18日、インフレ率が80%近くまで急上昇し、低中所得者層が食料や日用品の購入に苦労しているにもかかわらず、主要政策金利を引き下げると発表した。

中銀の金融政策委員会は声明で、「政策金利を14%から13%に引き下げる」と発表し、経済界を困惑させた。

エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は利上げがインフレを引き起こすと主張し、銀行に借入コストを下げるよう圧力をかけている。これは利上げがインフレを抑制するという確立された経済思想を否定するものである。

FRB(米連邦準備制度理事会)を含む世界の中銀がロシアのウクライナ侵攻などがもたらした食料・燃料価格の高騰を抑制するために金利を引き上げている。米国の7月のインフレ率は8.5%、イギリスは10.1%、19カ国のユーロ圏は8.9%に達したものの、トルコの約80%には遠く及ばない。

トルコの国民、特に人口の大多数を占める低中所得者層はパンとガソリン価格の高騰に苦しめられている。

トルコ中銀は昨年、高インフレ率にもかかわらず利下げを断行し、今年1月までに5%も政策金利を引き下げた。この利下げは通貨危機を引き起こし、消費者物価の上昇に拍車をかけた。

トルコリラは18日、中銀の決定後すぐ、ドルに対して1%近くも値下がりした。

首都アンカラの商店街で働く人々は途方に暮れている。

パン屋の店主はAP通信の取材に対し、「以前は10トルコリラで販売していたパンを今では5倍の50リラで販売している」と語った。「朝から何も売れないよ...」

保険ブローカーの男性はSNSに、「中銀はエルドアン大統領に逆らうべきだ」と投稿している。

18日にウクライナ西部リビウを訪問したエルドアン氏は最近、利下げ政策を擁護し、それが1000万人の雇用を守っていると主張した。またエルドアン氏は物価高騰を抑えると約束し、国民に忍耐を求めた。

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