◎スウェーデンは昨年、ロシアのウクライナ侵攻を受け、軍事部門における非同盟政策を放棄し、NATO加盟を申請した。
トルコのエルドアン大統領(Getty Images)

トルコ政府は12日、スウェーデンの首都ストックホルムの市庁舎近くにエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領を模したマネキンが吊るされたことを受け、駐スウェーデン大使を召還した。

国営トルコ・ラジオ・テレビ放送(TRT)によると、外務省は大使に説明を求め、テロ組織に指定されているクルド労働者党(PKK)やその他のクルド人武装勢力が裏で糸を引いていると主張したという。

TRTは政府関係者の話を引用し、「トルコ政府はこの凶悪な行為を強く非難すると大使に伝えた」と報じた。

また政府関係者は、「この行為はトルコがスウェーデンならびにフィンランドと交わした合意に反するものであり、両国はNATO加盟に向けクルド人武装勢力を取り締まると約束した」と述べた。

SNSで共有された写真にはエルドアン氏を模した人形が首を吊っているところが写っている。あるツイッターユーザーは「エルドアンを吊るせ」と投稿し、多くのいいねを集めていた。

スウェーデンのビルストロム(Tobias Billstrom)外相は12日、国家元首に対する脅迫や憎悪を煽る行為を非難するとツイートした。「政府は公の場で抗議したり議論したりする権利を保障しますが、民主的な選挙で選ばれた国家元首を市庁舎の外で処刑するような描写は容認しません」

トルコ大統領府の報道官はビルストロム氏のツイートに対し、「スウェーデン当局はテロリスト集団に対する措置を遅滞なく取る必要がある」と促した。

また報道官は「PKKのようなテロリストがストックホルムで自由気ままに行動できるのは、スウェーデン当局が必要な措置を取っていない証拠だ」と主張した。

駐トルコ・スウェーデン大使は昨年11月にもストックホルムの在トルコ大使館前にエルドアン氏を侮辱するポスターが掲示された後、呼び出しを食らった。

スウェーデンとフィンランドは昨年、ロシアのウクライナ侵攻を受け、軍事部門における非同盟政策を放棄し、NATO加盟を申請した。

NATO加盟には現加盟30カ国の承認を得る必要がある。トルコは両国がクルド人武装勢力の引き渡しなどの要求に応じれば批准手続きを開始すると主張している。

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