◎6月に選挙を控えるエルドアン大統領は3日、新年の挨拶で「インフレを抑え込む」と国民に約束した。
トルコ当局は3日、昨年12月の消費者物価指数(CPI)が2021年同月比で64.27%増となり、11月の84.39%から大幅に低下したと報告した。
公式統計によると、12月のCPIは前年同月比で64.27%増。11月の84.39%、10月の85.51%から大幅に低下した。
アナリストはこの低下について、「1年前の物価が既に高かったことを考慮すべき」と指摘している。
一部のエコノミストは国家機関の数字に疑問を呈している。地元の学者や専門家で構成されるインフレ研究グループは3日、12月のCPIを135.55%増と報告した。
パンデミックとロシアのウクライナ侵攻は世界中で物価を押し上げているが、専門家によると、トルコの物価上昇は「利下げ=インフレの解毒剤」というエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領の信念がもたらしたものだという。
他国の中央銀行は「利上げ=インフレの解毒剤」という経済界の常識に基づき、利上げに踏み切っている。
トルコ中央銀行は昨年、高インフレ率にもかかわらず主要政策金利を5%引き下げ、9%とした。
6月に選挙を控えるエルドアン氏は3日、新年の挨拶で「インフレを抑え込む」と国民に約束した。
またエルドアン氏はCPIが低下したことについて、「トルコの政策が間違っていなかったことを示している」と主張した。「私たちは中期目標をさらに下回るインフレ率を達成したのです!」
さらにエルドアン氏は人口の大多数を占める低中所得者層を支援する取り組みのひとつとして、最低賃金を55%引き上げ、200万人以上の早期退職を可能にする措置を導入すると発表した。
経済界は最低賃金が一方的に引き上げられるのではないかと懸念を示している。
地元メディアによると、大統領府は3日の声明で、「公務員の賃金と年金を25%引き上げる」と発表したという。時期は明らかにされていない。
公式統計によると、年間の物価上昇率が最も高かったのは住宅部門で約80%増。次いで食品・非アルコール飲料価格が78%増だった。