◎北海ブレント原油先物の取引価格は9日時点で1バレル=76ドル前後。昨年の最高値は1バレル=125ドルだった。
エネルギー世界最大手サウジアラムコの社名とロゴ(Getty Images)

サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは9日、第1四半期(1~3月)の純利益が318億8000万ドル(約4兆3100億円)となり、前年同期から20%近く減少したと発表した。

アラムコは減益について、原油価格の下落を理由に挙げた。昨年第4四半期(10~12月)の純利益は307億3000万ドルだった。

ナセル(Amin H. Nasser)CEOはオンライン会見で、「当社は財務的に高い信頼性と低い生産コストを提供し続けている」と述べた。

またナセル氏は投資家に対し、「当社は原油価格のサイクルを通して成果を出す能力を実証し、さらに強い収益とキャッシュフローを生み出し続けている」と説明した。

北海ブレント原油先物の取引価格は9日時点で1バレル=76ドル前後。昨年の最高値は1バレル=125ドルだった。

サウジの石油資源は広大な砂漠の地表近くにあり、世界で最も生産コストの低い場所になっている。

国際金融研究所によると、1バレルの価格が10ドル上昇すると、サウジは年間400億ドルの利益を得ることができるという。

アラムコは3月、昨年の純利益が上場以来最高を更新し、1610億ドル(約21兆7000億円)に達したと発表した。

ロシアのウクライナ侵攻に端を発する原油価格の高騰はアラムコに大きな利益をもたらしたが、その価格が下がれば収益も下がる。

ナセル氏は温室効果ガス排出量のさらなる削減に取り組んでいるとしながらも、中国・インドの将来の需要予測を挙げ、「世界はこれからも化石燃料を必要とし続ける」という強気の姿勢を崩していない。

ナセル氏は会見の中で、「当社は石油需要は今後も伸びると考えており、持続可能で安価なエネルギー転換を支えるために、当分の間、世界が石油・天然ガスを必要とし続けると信じている」と述べた。

またナセル氏は、「当社はこの業界が予想される将来の需要を満たすために十分な投資を行っていないことを懸念している」と主張した。

アラコムは2027年までに日量1300万バレルを目指すとし、生産量を増やすために550億ドルもの資金を設備に投資する予定だ。

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