◎アフガニスタンの食糧価格はこの8カ月で40%近く上昇した。
2022年3月18日/アフガニスタ、首都カブール、国連世界食糧計画のシェリー・タクラル氏(Mohammed Shoaib Amin/AP通信)

国連世界食糧機関(WFP)は18日、ロシア・ウクライナ戦争による燃料と食糧価格の高騰が極度の貧困に苦しむアフガニスタンに大打撃を与える可能性があると警告した。

国連によると、アフガンの経済は昨年8月のタリバン政府発足以来悪化の一途をたどっており、人口(3,800万人)の95%が食料の購入にひどく苦労しているという。

WFPの広報担当であるシェリー・タクラル氏はAP通信のインタビューの中で、「アフガニスタンの食糧価格はこの8カ月で40%近く上昇した」と明らかにした。

WFPは今年、10億ドル(約1,190億円)相当の食糧をアフガニスタンに提供する予定だが、タクラル氏はさらに予算を16億ドル(約1,900億円)確保する必要がある強調した。

またタクラル氏はアフガニスタンだけでなく国際社会の支援を必要としている国の物価が上昇していることに懸念を表明した。「国際社会はウクライナから逃れた市民300万人以上の対応に追われていますが、アフガニスタンを含む他国にも目を向けなければなりません」

15日にカブールを訪問した国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフィリッポ・グランディ氏も同様の懸念を表明していた。

グランディ弁務官はロシア・ウクライナ戦争がアフガニスタンを含む他国に充てられるはずの人道資金を吸い上げ、食糧価格の高騰が人道危機に拍車をかける可能性があると警告した。

アフガニスタンに供給されている小麦の大半はカザフスタンとウズベキスタン産だが、タクラル氏によると、ロシア軍の侵攻開始以降、市場の食料と燃料価格は急騰し、人道支援にかかる費用が最大20%増加する可能性があるという。

西側諸国と国際金融機関はタリバン政府に対する援助を停止している。旧アフガン政府は予算の80%を国際援助に依存していた。

カブールの市場で果物を販売している男性はAP通信の取材に対し、「誰もお金を持っていないので商品が売れない」と語った。

WFPによると、カブールの市場では小麦粉が1袋28ドル(約3,300円)前後で販売されているという。しかし、国民の大半は貧困ライン以下(1日1.90ドル以下)で生活しているため、28ドルの小麦粉を購入できる人は限られている。

タクラル氏によると、アフガンの市民の80%は食料や医薬品を購入するために借金をしなければならず、働いている人ですら市場に出回っている食料を購入する収入を得られず、その多くがWFPの食料配給に頼っているという。

国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは17日に公表したレポートの中で、「今年1月以来、アフガニスタンで約13,000人の新生児が飢餓または栄養失調に関連する病気で死亡し、350万人の子供が栄養面のサポートを必要としている」と報告した。

カブールの市場で果物を販売している男性は、「ロシアとウクライナの戦争は私たちにも影響を与えている」と語った。「あらゆる商品の価格が高騰しています...」

タクラル氏は今月末にイギリスで開催されるUNHCR誓約会議で44億ドル(約5,200億円)の資金調達が見込まれると述べ、アフガニスタンを含む貧しい国々に対する支援を呼びかけた。

2021年8月16日/アフガニスタン、首都カブールの郊外(Getty Images/AFP通信)
スポンサーリンク