◎会談には中国、パキスタン、イラン、インド、中央アジアの旧ソビエト諸国の代表も加わった。
2021年10月20日/ロシア、首都モスクワの会議場、タリバンの外交当局者(Alexander Zemlianichenko/Pool/AP通信)

10月20日、ロシアはアフガニスタンを統治するタリバンと近隣諸国の外交当局を首都モスクワに招き、中東と中央アジアの安全保障について協議した。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は会談に先立ち、「アフガニスタンの平和を確立するためには、民族グループではなく、すべての政治勢力に利益をもたらす包括的な政府を形成する必要がある」と述べた。

ロシアは2003年にタリバンをテロ組織に指定した。テロ組織と接触したロシアの個人または組織は法律に基づき罰せられるが、外務省はアフガニスタンの平和と安全を確立するためにはタリバンの存在が不可欠と主張し、2003年以降も接触を続けてきた。

ロシアは首都カブールの大使館職員を避難させていない。主要メディアによると、ロシアの大使はタリバンと定期的に連絡を取り合っているという。

ラブロフ外相は、アフガニスタンの治安と経済活動の安定に向けたタリバンの努力を称賛し、まもなくアフガニスタンに人道援助を提供すると明らかにした。「ロシアはアフガニスタン国内で生活するロシア市民と大使館職員の安全を確保したタリバン当局の対応に満足しています...」

またラブロフ外相は、人権を尊重し、バランスの取れた社会政策を追求することが重要であると強調し、会談前にタリバンの代表団とそれらの問題について話し合ったと述べた。

アフガニスタンのロシア特使であるザミール・カブロフ氏は、「タリバンの国際的な承認は、新政府の平和的な活動と人権への配慮にかかっている」と強調した。「国際社会はアフガニスタン国民の基本的人権が保障されることを期待しています。タリバンは今この瞬間も国際社会の要請に応える取り組みを推進しています。アフガニスタンの人権は改善されるでしょう」

一方、タリバン暫定政府のアブドゥル・サラム・ハナフィ副首相はラブロフ外相に謝意を伝えたうえで、「この会議は地域全体の安定と平和に欠かせない」と述べた。「関係国はアフガニスタンの指導部に国の統治体制を改善し、政治勢力の意見や利益を追求する包括的な政府の形成を求めています」

「タリバンは民族グループ、女性、子供の権利を尊重すると約束します...」

会談には中国、パキスタン、イラン、インド、中央アジアの旧ソビエト諸国の代表も加わった。また現地メディアによると、ロシアは中国とパキスタンの外交当局と19日に別の会合を開いたという。なお、米国は出席しなかった。

米国務省のネッド・プライス報道官は20日の会見でロシア主催の会談を歓迎したが、主要メディアによると、米国の新アフガニスタン特使に就任したトーマス・ウェスト氏は会談に出席する準備ができていなかったという。ザルメイ・ハリルザド前特使の辞任は19日に発効した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先週、タリバンをアフガニスタンの新しい統治者として公式に認めるには時間がかかると述べ、協議を続ける必要があると強調した。

またプーチン大統領は、イスラム国(ISIS)関連グループとアフガニスタン北部に拠点を置く他のジハード組織がもたらす脅威に懸念を示し、アフガニスタンから持ち込まれる麻薬は交渉に影響を与えると警告した。「多くのテロリストグループ、特にアルカイダとISISはアフガニスタンの混乱を利用し、勢力を拡大しようとしています。関係国は移民を装うジハード組織のテロや麻薬の密売を警戒しなければがなりません」

ロシアは今週、ジハード組織の脅威に対抗するために、中央アジアの旧ソビエト同盟国に軍事援助を提供すると誓い、アフガニスタンに隣接するウズベキスタンとタジキスタンで合同訓練を開催した。

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