アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、占領下のヨルダン川西岸にあるイスラエル入植地を訪れ、中東地域の平和と安寧を祈った。
先日、現地のパレスチナ人はポンペオ国務長官の来訪を知り、抗議活動を行っている。
アメリカの高官がヨルダン川西岸を訪れるのは初。ポンペオ国務長官は入植地の製品に「イスラエル製」とラベルをつけることができると語った。
今回の訪問は、イスラエルの占領を支持したトランプ政権の意思を反映している。
一方、パレスチナ人と国際社会は占領を国際法違反と呼び、平和への大きな障害と見なしている。
来年1月に辞任するポンペオ国務長官は18日にイスラエルに到着した。
翌日、ポンペオ国務長官はベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した後の記者会見で、イスラエルに対する国際的なパレスチナ主導のボイコット運動(BDS)を「反ユダヤ主義」と呼び、参加するグループに対し、政府の資金を受け取ることを禁じると発表した。
イスラエルもBDSについて、「国家そのものに反対し、反ユダヤ主義に動機付けられている」と非難している。
ポンペオ国務長官はヨルダン川西岸地区について、「米国務省は長い間、和解について誤った見方をしていた」と述べた。
マイク・ポンペオ国務長官:
「しかし、今日、私は合法かつ適切な方法で和解に至ることができるとあらためて強く認識した」
その後、ポンペオ国務長官はヘリコプターでユダヤ人居住地のプサゴット・ワイナリーに移動した。
イスラエルは1967年の中東戦争でヨルダン川西岸とゴラン高原を占領した。以来、同地に建設された約140の集落で、60万人以上のパレスチナ人が過酷な生活を強いられている。
イスラエルはパレスチナ人の居住に異議を唱えているが、国際社会のほとんどは占領を国際法違反と見なしている。
イスラエルのジャーナリスト、バラク・ラヴィド氏は今回の訪問について、ヨルダン川西岸地区の「イスラエルへの併合を事実上認めた」ことに等しいと指摘した。
一方、バイデン氏は同地の扱いについて言及しておらず、トランプ大統領の遺産に向き合うかどうかは不明。パレスチナ人との和平交渉に向けた計画は大統領選挙中も議題に上がらなかった。
バイデン氏は新イスラエル民主党員であり、新境地を開拓することはない。また、エルサレムをイスラエルの首都と認めたトランプ大統領の発言を覆すつもりもないように思える。
解散を間近に控えたトランプ政権の動きは、バイデン大統領の政策をより困難にする。
バイデン氏はイラン核合意への復帰を政権公約のひとつに掲げている。
これに対しトランプ政権は、イランが支援するイエメンのフーシ反乱運動をテロ組織に指定する予定(検討中)と発表した。
バイデン氏はイエメンでのサウジアラビア主導の戦争と支援を終わらせると公言しており、この動きは計画の妨げになる可能性が高い。
5つの主要な援助組織と民主党員55名はポンペオ国務長官に書簡で、「テロ組織への指定は、脆弱な国連主導の和平プロセスを混乱させ、世界最悪の人道危機への対応を妨害するだろう」と警告した。
ポンペオ国務長官は今回の7ヵ国弾丸辞任ツアーで、トルコ、ジョージア、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア、フランス、イスラエルを訪問する予定。