◎紛争当事者はこれまでにも数回停戦に応じたものの、数時間後には銃撃戦が再開されていた。
2023年9月10日/レバノン、南部シドンのパレスチナ難民キャンプ(Mohammed Zaatari/AP通信)

レバノン政府は11日、南部シドンのパレスチナ難民キャンプの戦闘に関与した当事者が「即時かつ永続的な停戦」に応じたと明らかにした。

イスラム主義グループとみられる正体不明の武装テロリストは7月末、パレスチナの前与党ファタハの幹部とされる人物を殺害しようとし、銃撃戦に発展。市街戦の末、ファタハの幹部と護衛3人が死亡した。

ファタハを支持する組織は幹部殺害に関与した武装テロリストの身柄をレバノン当局に引き渡すよう求めている。戦闘は8月3日に収まったものの、いつ再燃してもおかしくない状況が続き、先週、銃撃戦が勃発した。

レバノンの国営テレビによると、レバノン陸軍の高官は10日、ファタハを支持する組織の幹部および対立勢力の関係者と会談し、停戦について協議したという。

紛争当事者はこれまでにも数回停戦に応じたものの、数時間後には銃撃戦が再開されていた。この停戦協定が維持されるかどうかは不明であり、ファタハと対立勢力は声明を出していない。

AP通信によると、7日夜以降の銃撃戦で少なくとも6人の死亡が確認され、民間人を含む約60人が負傷したという。10日の戦闘では1人が死亡したと伝えられている。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は10日の戦闘で4人が死亡、少なくとも60人が負傷したと報告している。

レバノン政府は11日の声明で、「陸軍当局は新たな停戦の可能性について協議するため、パレスチナ諸派の関係者を交えた会合を開き、終了後、停戦を宣言した」と述べている。

また同政府はファタハ幹部殺害に関与したとされるイスラム主義グループの容疑者を警察に引き渡すよう呼びかけた。

レバノン軍はパレスチナ自治政府との協定に基づき、キャンプには入らず、周辺の警備にあたっている。

この難民キャンプは1948年のイスラエル建国時に避難民となったパレスチナ人を収容するために建設され、約5万5000人が生活している。

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