◎イスラエルとパレスチナの緊張は急激に高まっており、新たな紛争に発展する恐れがある。
2023年4月6日/パレスチナ自治区、ガザ地区、イスラエル軍の空爆(Mohammed Salem/ロイター通信)

イスラエル軍が6日遅く、イスラム過激派組織ハマスの実行支配下に置かれるガザ地区を空爆した。

ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相はビデオ演説で同国南部へのロケット攻撃を念頭に置き、「敵に代償を支払わせる」と述べた。

現地メディアによると、イスラエル空軍の戦闘機がガザ地区上空に飛来し、ハマスの拠点とされる建物などを空爆したという。

アルジャジーラは情報筋の話を引用し、「現時点で死傷者は報告されていないが、民間施設が空爆を受けた」と報じている。

それによると、ガザ地区北部の農村、南部の建物2カ所、中心部の農地などにミサイルが着弾したという。

イスラエル軍は市内にある2つのトンネルと武器施設を攻撃したと発表している。AFPはパレスチナ治安筋の話として、「ハマスの訓練施設が吹き飛んだ」と伝えた。

イスラエル軍は公式ツイッターにも声明を投稿。「イスラエル南部で空襲サイレンが鳴った」と述べている。

イスラエル南部には同日、レバノンからロケット弾34発が飛来し、建物などに被害が出た。イスラエル軍は防空システム「アイアンドーム」でこれを迎え撃ったが、5~6発が領内に着弾し、民間人1人が負傷したと伝えられている。

地元メディアによると、ネタニヤフ氏は緊急閣議を開き、このロケット攻撃について協議したという。

閣議後、ネタニヤフ氏は短い声明を発表した。「イスラエルは今夜、そしてそれ以降も、敵に重い代償を支払わせるだろう...」

イスラエル軍はハマスがレバノン南部からロケット弾を撃ち込んだと主張している。

一方、ハマスも空爆後に声明を出し、イスラエル軍の主張に反論。さらなる攻撃を示唆した。「我々はガザ地区に対する重大なエスカレーションと明白な侵略の全責任をシオニスト(パレスチナにユダヤ人の民族的拠点を建設しようとする思想・運動)占領軍に負わせる...」

イスラエルとパレスチナの緊張は急激に高まっており、新たな紛争に発展する恐れがある。

ガザ地区からイスラエル南部に向けて2日連続でロケット弾が発射され、東エルサレムの聖地アルアクサ・モスクではイスラエル警察とパレスチナ人が衝突、数十人が負傷し、350人が逮捕された。

アルアクサ・モスクでラマダンの礼拝を行ったパレスチナ人の一部はユダヤ教の春の祭り「過越(すぎこし)の祭り」を意識し、同モスクを占領。機動隊はゴム弾、スタングレネード、催涙ガスでデモ隊を圧倒した。

イスラエル軍によると、6日早朝に同国南部で確認されたロケット攻撃による死者は確認されていないという。

このロケット攻撃はレバノン側から放たれたものとしては、2006年のレバノン侵攻以来の規模であった。

イスラエル軍はツイート中で、「飛来した34発中5発が領内に着弾、25発を撃墜し、4発は確認中」と述べている。

レバノンの国営通信社NNAは6日、「イスラエル軍が大砲による越境攻撃を仕掛けてきた」と報じた。それによると、死者は出ていないという。

イスラエル軍はレバノンから撃ち込まれたロケット弾について、「ハマスまたはそれに関連するガザ地区に拠点を置くテロリストグループの犯行」と説明している。

イスラエル軍の報道官はツイッターに声明を投稿。空爆を「パレスチナ人向けのイベント」と呼んだ。

地元紙タイムズ・オブ・イスラエルは対外諜報機関モサドの元部長の話として、「レバノンのヒズボラは攻撃に関与していないとみられるが、それを知らなかったとは考えにくい」と報じている。

イスラエル軍とヒズボラによる2006年の戦争(レバノン侵攻)では両軍の兵士合わせて1000人以上が死亡、数千人が負傷し、レバノンの市民100万人以上が避難を余儀なくされた。

2021年5月16日/ガザ地区、イスラエル軍の空爆(Getty Images/AFP通信)
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