◎イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。
2021年10月26日/パレスチナ、ヨルダン川西岸地区の住宅開発現場(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

10月27日、イスラエル政府はヨルダン川西岸地区に住宅約3,000戸を建設する開発計画を承認した。

開発計画を主導する委員会は先週、西岸地区に住宅1,355戸を建てる工事入札を行うと発表し、さらに別の工事計画の準備も進めている。

開発計画は米国の懸念を引き起こし、米国務省は26日の声明で「パレスチナ人との和解プロジェクト」を非難した。

米国務省のネッド・プライス報道官は記者団に対し、「イスラエルが進めている住宅開発を深く懸念している」と述べた。「開発は二国間の交渉と問題の平和的な解決に深刻な影響を与えるでしょう...」

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。

聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。

専門家たちも、「イスラエルはパレスチナに対する支援(住宅開発など)の見返りとして、国際法違反である1967年の占領を認めさせようとしている」と指摘した。

パレスチナの平和共存を訴える人権NGOのピース・ナウは27日、「イスラエル政府が承認した新築住宅の大部分は西岸地区の奥深くに建設され、いくつかの孤立集落が開発の影響を受けている」と述べた。

ジョー・バイデン大統領は1月の就任以来、パレスチナ問題に関する発言を控えていたが、今回初めて保守的なナフタリ・ベネット首相を叱責した。

ドナルド・トランプ前大統領は和解プロジェクトに対して寛容な態度を示し、「和解交渉を加速させるための開発計画は国際法違反ではない」と主張していた。

ピース・ナウによると、イスラエルはトランプ政権時代に3万戸以上の住宅を西岸地区に建設したという。

2021年8月27日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、ジョー・バイデン大統領とイスラエルのナフタリ・ベネット首相(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

イスラエルの政府高官は27日、ロイター通信の取材に対し、「ベネット首相はホワイトハウスとの関係と開発計画のバランスをとろうとしている」と述べた。

右翼ナショナリストのベネット首相は1967年の占領とアラブ人の追放を擁護し、パレスチナ国家の創設に強く反対している。

ベネット首相はパレスチナとの交渉再開を拒否し、代わりに西岸地区の生活環境を改善する取り組みに焦点を当てた。イスラエルとパレスチナは10年以上和平交渉を行っていない。

ベネット政権は先日、アラブ人に対する数十億ドル規模の支出計画を承認した。議会は近いうちに予算案の審議を始めると伝えられている。

パレスチナのマフムード・アッバース大統領は、イスラエルの決定を明確に反対するよう国際社会に呼びかけ、「開発計画は米国のこれまでの努力を侮辱している」と述べた。

AP通信によると、アントニー・ブリンケン米国務長官はイスラエルのベニー・ガンツ国防相との電話会談で開発計画に抗議したという。

ピース・ナウを含むパレスチナの権利団体は、数千から数万戸の住宅開発はパレスチナ人が求めているニーズのほんの一部に過ぎないと主張している。

イスラエルの管理下に置かれているヨルダン川西岸地区の60%で住宅を建設する場合は、イスラエル軍の厳しい審査を通過しなければならない。権利団体によると、許可申請はほぼ100%却下されるため、西岸地区の居住者の大半が取り壊しも覚悟の上で許可を得ずに住宅を建設しているという。

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