◎6カ国の外交トップは27日に南部のネゲブ砂漠にあるホテルで会合し、28日に会談を行う予定。
2022年3月27日/イスラエル、エルサレムの大統領府、ヘルツォーク大統領とブリンケン米国務長官(Jacquelyn Martin/Pool/AP通信)

3月27日、イスラエルで米国とアラブ連盟4カ国の外相による歴史的な会談が始まる。

UAE(アラブ首長国連邦)、モロッコ、バーレーンの閣僚がイスラエルの閣僚とイスラエルで会談するのは初めて。3カ国はこの1年半でイスラエルとの関係を正常化した。

エジプトの外相も参加する予定である。

エジプトは1979年にアラブ諸国として初めてイスラエルと和平協定を結んだが、両国の関係はしばしば冷え込んでいた。

6カ国の外交トップは27日に南部のネゲブ砂漠にあるホテルで会合し、28日に会談を行う予定。

欧州・中東歴訪中のアントニー・ブリンケン米国務長官はイスラエル、ヨルダン川西岸、モロッコ、アルジェリアを5日かけて訪問する予定。主な議題はロシア・ウクライナ戦争、イランとの緊張、イスラエル・パレスチナ紛争など。

ブリンケン国務長官はイスラエルのベネット首相とパレスチナのアッバス議長とも会談する予定。

米国はイランの核開発放棄と引き換えにイラン核合意に復帰する意向を示唆している。一方、イランは米国の制裁解除が先と主張している。

イスラエルは宿敵イランに対する経済制裁の強化を求めており、イラン核合意の再開に激しく反対している。

ベネット首相はブリンケン国務長官との会談で、改めてイラン核合意の再開に強く反対すると予想されている。

2018年に崩壊したイラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止しているが、国際原子力機関(IAEA)が今月初めに公表したレポートによると、イランは60%の高濃縮ウランを30kg以上の保有し、その量を増やし続けている。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用

トランプ前米大統領は2018年に合意から撤退し、イランの外国資産を凍結したうえで、イランの原油、天然ガス、石油化学製品などに対する投資を禁止した。しかし、イランは制裁発動後も中国などの同盟国に原油や兵器を輸出し続けている。

イスラエルはイラン核合意が以前より弱くなり、イランの軍事活動が強化されることを懸念している。

またイスラエルは米国が核合意の再開に向けた取引の中で、イスラム革命防衛隊のテロ組織指定を解除する可能性があることにも強い懸念を表明している。

イスラム革命防衛隊はイラン国務省の管理下に置かれる準軍事組織のひとつで、イエメンのシーア派武装勢力フーシ、レバノンのイスラム過激派組織ヒズボラ、ガザ地区のハマスなどに兵器や兵士を提供し、シリア内戦を支えてきた。

ブリンケン国務長官はパレスチナ問題についてもベネット首相とは異なるアプローチを支持している。イスラエルはパレスチナ国家の建設を断固として拒否している。

一方、ロシアのウクライナ侵攻については協調して対応にあたっており、ベネット首相はトルコなどと共に仲介役を務めている。

イスラエルはウクライナ、ロシア両国と良好な関係にあり、ベネット首相はプーチン大統領と何度も直接会談や電話会談を行ってきた。

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