◎イスラエル軍は27日、首都ベイルート南部のヒズボラ本部とされる建物を空爆し、ナスララ師らを殺害した。
イスラエル軍がレバノンの過激派ヒズボラの首長ナスララ(Hassan Nasrallah)師の暗殺に米国製の地中貫通型爆弾(バンカーバスター)を使用した可能性がある。米新聞大手ワシントン・ポストが29日に報じた。
イスラエル軍は27日、首都ベイルート南部のヒズボラ本部とされる建物を空爆し、ナスララ師らを殺害した。
ワシントン・ポスト紙によると、イスラエル軍は米国製のバンカーバスターBLU-109を使用した可能性が高いという。
同紙は武器と軍需品に関する分析・情報を提供するアーマメント・リサーチ・サービス(ARES)の専門家の話しを引用し、「イスラエル軍が使用した爆弾のいくつかは、JDAM(誘導装置)が取り付けられた米国製のBLU-109であった可能性が高い」と伝えている。
BLU-109の重量は約900キログラム。バンカーバスター型の重爆弾で、JDAMを使って特定の標的を正確に攻撃できるとのこと。
ARESによると、その破壊半径は35メートル。鉄筋コンクリート製の建物でも、直撃すれば、地下深くまで「えぐり取られる」という。
ナスララ師は建物の地下にいたとされる。
現地メディアによると、ヒズボラの本部とされる6階建ての建物は地下施設も含め木っ端みじんになったという。
イスラエル軍が使用した弾頭の数は明らかになっていないが、その周囲の建物もほぼ全壊状態。数百メートルの範囲の建物が被害を受けた。
ワシントン・ポスト紙はARESの話しとして「最初に入手した爆発の映像は、多数の大型爆弾が使用されたことを示している」と報じた。
また同紙は「これらの爆弾の一部は厳重に固められた空間(地下)を貫通するためのものだった」とした。
米政府はナスララ師への攻撃について、事前通知はなかったと繰り返し述べている。
バイデン(Joe Biden)大統領とハリス(Kamala Harris)副大統領はナスララ師の死を歓迎。この空爆を「米国人、イスラエル人、レバノンの民間人数千人を含む多くの犠牲者のための正義の措置」と評した。