◎イランの支援を受けるイスラム聖戦はシリアの首都ダマスカスに本部を置き、ガザ地区で最も強力なテロ組織のひとつとみなされている。
2022年8月7日/ガザ地区、イスラム聖戦幹部の葬儀(Yousef Masoud/AP通信)

イスラエル軍とガザ地区のイスラム過激派組織「イスラム聖戦」は8日、エジプト政府仲介による停戦協定を守り、攻撃を控えた。

パレスチナ自治政府によると、イスラエル軍の空爆で少なくとも44人が死亡、300人以上が負傷したという。

米国と国連は双方に停戦を維持するよう求めた。

バイデン(Joe Biden)大統領は7日の声明で、すべての紛争当事者に武器を置くよう求め、ガザ地区に人道支援を送るよう呼びかけた。

またバイデン氏は民間人が犠牲になったという報告について、適切に調査するよう求めた。

イスラエルとガザ地区を実行支配するイスラム過激派組織ハマスの停戦を仲介したことのあるエジプト政府は7日、紛争を収めることに成功した。

しかし、イスラエル軍は停戦が発効される直前にイスラム聖戦がロケット弾を発射したため、ガザ地区の標的を空爆した。イスラエルのメディアも停戦発効から数分後にガザ地区からロケット弾が飛来したと報じている。

しかし、それ以降攻撃は確認されず、夜が明けた。

イスラエル政府は5日、「差し迫った脅威に対処する」という理由でガザ地区に潜伏するイスラム聖戦の拠点を空爆した。イスラエル軍は先週、ヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャンプでイスラム聖戦の幹部を逮捕していた。

パレスチナ保健省によると、7日夕方の時点で子供15人を含む44人の死亡を確認し、300人以上が負傷したという。同省はイスラエル軍を厳しく非難した。

イスラエル軍はイスラム聖戦が発射したロケット弾の一部がガザ地区内に着弾し、子供を含む民間人が死亡したと主張している。

パレスチナ保健省はガザ地区の物資が不足し、医療機関の運用に必要な燃料があと2日分しかないと警告したため、停戦協定が結ばれることとなった。

イスラム聖戦の報道官は7日、エジプト政府に謝意を示し、イスラエルを非難した。

イスラエル政府はガザ地区から攻撃が確認された場合、強力に対応すると警告している。

ガザ地区南部では今回の空爆で死亡したとされるイスラム聖戦幹部の葬儀が行われ、数千人が集まった。イスラエルに抗議するデモはヨルダン川西岸地区でも行われたと伝えられている。

イランの支援を受けるイスラム聖戦はシリアの首都ダマスカスに本部を置き、ガザ地区で最も強力なテロ組織のひとつとみなされている。

イスラエルはイスラム聖戦をテロ組織と見なし、何度も衝突している。

イスラム聖戦は2019年11月、イスラエル軍がイスラム聖戦幹部を殺害したことを受け、イスラエル領内にロケット弾を発射。イスラエル軍がこれに応戦し、5日間の紛争に発展した。

パレスチナ保健省によると、この紛争ではパレスチナ人少なくとも34人が死亡、111人が負傷した。イスラエルでは市民63人が医療機関で治療を受けている。イスラエル政府は殺害した34人のうち25人はテロリストだったと報告した。

2022年8月7日/ガザ地区、イスラエル軍の空爆(Adel Hana/AP通信)
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