イスラエル軍、ガザ全域への空爆強化、93人死亡、群集事故も

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は16日午後の時点で5万8573人、負傷者は13万9607人となっている。
2025年7月16日/パレスチナ自治区、ガザ地区ハンユニスの医療施設前(AP通信)

イスラエル軍が16日、パレスチナ・ガザ地区全域への空爆と砲撃を継続し、過去24時間で少なくとも93人が死亡、数百人が負傷した。保健当局が明らかにした。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは南部ラファの食料配給所付近で援助を待っていた30人が死亡し、その数はさらに増加する可能性があると報じている。

ロイター通信は米国とイスラエルが主導するガザ人道財団(GHF)の配給所で群集事故が発生し、少なくとも19人が窒息死し、1人が刺し傷を負い死亡したと報じた。

GHFは声明で、南部ハンユニスにある配給所のひとつでイスラム組織ハマスの戦闘員が故意に混乱を引き起こし、多くの市民がパニックを起こした結果、19人が踏みつけられて死亡、1人が刺殺されたと述べた。

またGHFはハマスの扇動者が混乱を煽り、大勢がフェンスに押し寄せ、身動きが取れなくなったと主張した。

さらに、「群衆に紛れたハマスの扇動者が故意に混乱を引き起こしたという信頼できる情報がある」と述べた。

ハマスはGHFの主張を「虚偽で誤解を招くもの」と否定。GHFの警備員とイスラエル兵が集まった人々に向けて唐辛子スプレーを噴射し、発砲したと主張した。

GHFはハマスの主張を「虚偽」と一蹴した。

ロイター通信は目撃者の話しとして、「配給所の警備員がフェンスゲートを閉鎖した後、人々に向けて唐辛子スプレーを吹き付け、内側フェンスと外側の有刺鉄線フェンスの間に閉じ込めた人々がパニックを起こした」と伝えている。

アルジャジーラの取材に応じたパレスチナの保健当局者は、「この群集事故で21人が窒息死した」と語った。

GHFは5月27日に南部の複数のエリアで配給所の運営を開始。それ以来、配給所とその周辺で死亡した市民は900人近くに達した。

イスラエル軍は北部とガザ市でも攻撃を強化し始めている。

イスラエルとハマスの停戦交渉は難航しており、立場の隔たりが埋まるかは不透明な情勢だ。

トランプ(Donald Trump)米大統領は今月初めにイスラエルが60日間の停戦に向けた条件に同意したと明らかにした。

イスラエルの政府高官は双方が60日間の停戦に合意した場合、イスラエルはその期間を利用して、ハマスが武装解除することを条件とする恒久的な停戦を提案する用意があるとしている。

イスラエル側は5月末にトランプ政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めていた。

ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案していた。

トランプ氏はイスラエルが同意した停戦の条件を明らかにしておらず、ウィトコフ氏が示した案と同じかは不明である。

ハマスは過去の協議で「恒久的な停戦」を求めてきた。

一方、ハマス壊滅を目指すイスラエルは「期間を定めた停戦」には応じる姿勢を示している。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は16日午後の時点で5万8573人、負傷者は13万9607人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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