◎イスラエルはイラン核合意に断固として反対しており、当時のドナルド・トランプ大統領の合意撤退(2018年)およびイランに対する壊滅的な経済制裁を歓迎した。
2021年6月20日/イスラエル、エルサレムの政府庁舎、ナフタリ・ベネット首相(中央)(Emmanuel Dunand/AP通信)

イスラエルのナフタリ・ベネット首相は20日、定例閣議の中でイランの新大統領を非難し、イラン核合意の再開は極めて危険と世界に呼びかけた。

イランの強硬派で司法長官を務めるエブラヒーム・ライシ氏は、過去最低の投票率を記録した選挙で新大統領に選出された。ライシ氏は1988年の政治犯大量虐殺に関与したことでアメリカの制裁を受けている。

ベネット首相は閣僚に、「イランの残忍は絞首刑執行内閣は核兵器を望んでいる」と述べた。ライシ氏は大量虐殺に関与したことを否定している。

ベネット首相は、「イスラエルを破壊したい最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイが新大統領を選んだ」と述べ、イランはイスラエルとの新たな戦いに向けて核兵器開発を加速させようとしている警告した。

何週間もの間、イランとアメリカの外交官はヨーロッパの仲介者を通じて包括的共同行動計画(JCPOA/イラン核合意)の再開に向けた交渉を続けてきた。ウィーンの現地メディアによると、両国は20日から交渉を再開したという。

イランは自国の核開発計画を平和的と主張している。しかし、核兵器を製造しようとしているという疑いは2010年の国連安保理制裁につながり、イランは態度を硬化させた。2015年、イランは制裁の緩和と引き換えに核開発を制限すると約束し、P5プラス1(米、中、露、英、仏+独)との合意に達した。

イスラエルはイラン核合意に断固として反対しており、当時のドナルド・トランプ大統領の合意撤退(2018年)およびイランに対する壊滅的な経済制裁を歓迎した。それ以来、合意は骨抜きになり、イランは核開発に関する制限を全て放棄した。イランのウラン濃縮はまだ兵器級には達していないが、これまでで最高レベルのウランを濃縮している。

イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。イランは濃縮度を60%まで引き上げ、この貯蔵量は先日6.5kgに達した。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用

2021年6月20日/イスラエル、エルサレムの政府庁舎、定例閣議の様子(Emmanuel Dunand/AP通信)

ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安全保障顧問は20日、「イランの最高指導者は合意の再開を望んでいるため、今回の大統領選挙の結果が交渉に影響を与える可能性は低い」と述べた。

サリバン顧問はCNNニュースのインタビューの中で、「イランが戻るかどうかを決定するのは大統領ではなく最高指導者であり、強硬派が選出されても交渉は続く」と述べた。

イランの政治システムは大統領を最高指導者の駒と見なしており、立法、行政、司法、軍、メディア、核計画、その他の全ての問題の最終決定権はハメネイ最高指導者に委ねられている。

イランとイスラエルは数十年に渡る影の戦争下にあり、いくつもの諜報活動やテロ作戦を展開してきたが、今のところ全面戦争は回避している。

ハメネイ最高指導者はイスラエルの廃絶を望み、2018年には地域から取り除かなければならない「悪性腫瘍」と表現した。

ベネット首相は閣議の中で、「世界の大国は取引相手のことを理解しなければならない」と述べた。「イランは核兵器を欲しています。残忍な絞首刑執行内閣に大量破壊兵器を持たせてはいけません...」

イランは昨年の核科学者モーセン・ファクリザデ氏の暗殺と今年4月に発生したナタンツ核施設のテロ攻撃でイスラエルを非難したが、ベンヤミン・ネタニヤフ前首相は事件に関する声明を一切発表しなかった。

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