イラン、IAEAに「二重基準」の廃止を要請
ペゼシュキアン氏は先週、IAEAとの協力を停止する法律を施行した。
と国際原子力機関のグロッシ事務局長(AP通信).jpg)
イランのペゼシュキアン(Masoud Pezeshkian)大統領が国際原子力機関(IAEA)の「二重基準」を批判した。国営イラン通信が10日に(IRNA)が報じた。
それによると、ペゼシュキアン氏は欧州理事会のコスタ(Antonio Costa)常任議長との電話会談で、核開発プログラムに関するIAEAとの協力を再開するには「二重基準」の廃止が必要であると強調したという。
ペゼシュキアン氏は先週、IAEAとの協力を停止する法律を施行した。
IAEAはその後、イランに残っていた査察官を退避させた。
イスラエル軍は先月、イランの核施設と軍事施設に対する攻撃を開始。12日間の戦争で数百カ所を空爆した。
イスラエル軍は先制攻撃に踏み切った理由について、▽イランが核兵器保有を推進していること▽数千発の弾道ミサイルを保持していること▽中東各地の代理勢力への武器と資金の提供を挙げ、これらの脅威を取り除くことと説明している。
米軍はイスラエルが攻撃を開始してから10日後、「ミッドナイトハンマー(真夜中の鉄槌)」と名付けた攻撃作戦を決行。イランの3つの核施設(ナタンツ、フォルドゥ、イスファハン)に対し、7機のステルス戦略爆撃機B2などを投入し、地中貫通型爆弾(バンカーバスター)GBU57をあわせて14発投下した。
イランとIAEAの関係は米国とイスラエルが核施設を空爆して以来、悪化の一途をたどっている。
イランは長年、核兵器の開発を否定してきた。
IRNAによると、ペゼシュキアン氏はコスタ氏に対し、「イランがIAEAとの協力を継続するかどうかは、IAEAが核問題に関する二重基準を是正するかどうかにかかっている」と述べたという。
またペゼシュキアン氏はイスラエルが再攻撃を仕掛けた場合、より強力な措置を取ると強調した。
イラン政府はIAEAの監督下にある非核保有国のイランが核保有国の米国とイスラエルの攻撃を受けたこと、そして、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するイスラエルが核施設を攻撃したことを国際法違反と糾弾している。
NPTで核保有を認められた5カ国(米露中英仏)以外に核兵器を保有する国のひとつがイスラエルであり、IAEAを含む国際社会はそれを黙認してきた。
イスラエルは現在、核弾頭を約90発を保有していると推定されるが、その保有を認めたことは一度もない。
イランは5月時点で60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。IAEAによると、これは核弾頭9発分に相当する。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用