首都テヘランでクルド人女性のアミニさんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。
イランの高校、最高指導者ハメネイ氏の写真に中指を突き立てる女子生徒たち(Twitter)

イランの現地メディアは4日、首都テヘランを含む主要都市で道徳警察に抗議するデモが続いていると報じた。

テヘランでクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。

テヘランのある高校では女子生徒がヒジャブを脱ぎ捨て、最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師の写真に向けて中指を突き立て、道徳警察の暴力と女性を軽視する指導部に抗議した。

テヘラン近郊カラジの学校では女子生徒が教育関係者を強制退去させたと伝えられている。

ツイッターに3日に投稿された動画には、女子生徒たちが「恥を知れ」と男性を罵り、水筒のようなものを投げつけ、校外に追い出す様子が映っていた。

別の動画では男性生徒を含む生徒たちが「今団結しなければ、政治家は国民を一人ずつ殺していくだろう」と呼びかけるところが映っていた。

南部シラーズで3日に撮影されたとみられる動画には、数十人の女子生徒が幹線道路を封鎖し、ヒジャブを振り回しながら「独裁者に死を」と叫ぶところが映っていた。

報道によると、テヘラン、カラジ、西部クルディスタン州サケズ、サナンダジでは4日にも同様の抗議デモが行われたという。

生徒たちはハメネイ師を非難する写真をSNSで共有している。

ハメネイ師と初代最高指導者の故ホメイニ(Ruhollah Khomeini)師の写真に向けて中指を突き立てる写真はツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどで世界に拡散した。

ハメネイ氏は3日、反政府デモについて初めて公の場で発言し、「米国とイスラエルが騒乱の原因であり、イランの進歩を止めようとしている」と非難した。しかし、学生はこの発言を却下し、女性軽視と道徳警察の暴力の原因は指導部にあると糾弾した。

アミニさんは先月13日、テヘランを訪問中にヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。

警察はアミニさんへの暴力を否定し、突然心不全を起こしたと主張しているが、アミニさんの家族はこれを否定し、欧米諸国も深刻な懸念を表明している。

道徳警察はアミニさんの死を「不幸な事故」と呼び、デモを厳しく取り締まっている。

ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)によると、治安部隊の攻撃でこれまでに少なくとも154人が殺害され、数千人が負傷したという。

2022年9月20日/イラン、首都テヘラン中心部、道徳警察の暴力に抗議するデモ(Getty Images)
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