◎首都テヘランでクルド人女性のアミニさんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。
2022年9月28日/チリ、首都サンティアゴ、イランの道徳警察に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

イランの道徳警察に抗議するデモが4週目に突入した。

現地メディアは8日、首都テヘランを含む主要都市で数百人規模のデモが続き、一部のデモ隊と治安部隊が衝突。少なくとも3人が射殺されたと報じた。

北西部の都市サナンダジではデモ隊を支援していた車が銃撃を受け、2人が死亡。第2の都市マシュハドでは女性が首を撃たれ死亡したと伝えられている。

テヘランでクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんがヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴り殺された事件は全国規模のデモを引き起こし、一部地域では暴動に発展している。

テヘランのある高校の女子生徒はヒジャブを脱ぎ捨て、最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師の写真に向けて中指を突き立て「恥を知れ」と罵る映像を撮影し、SNSで世界に発信した。

アミニさんは先月13日、テヘランを訪問中にヒジャブを適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。

国営イラン通信(IRNA)はサナンダジの地元警察の声明を引用し、「反革命分子が市民2人を射殺した」と報じている。

イラン当局は7日、アミニさんの死因は頭部への打撃によるものではなく、呼吸不全による多機能不全と発表した。SNSで拡散した動画にはアミニさんが道徳警察に引きずり倒され、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受ける様子が映っている。

ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)によると、治安部隊の攻撃で殺害された市民は150人を超え、数千人が負傷したという。

テヘランのバザールでは暴徒化した市民が売店に火をつけ、治安部隊を追い払ったと報告されている。他の都市でも多くの小売店が閉鎖を余儀なくされた。

ハメネイ氏を含む指導部は「米国とイスラエルが暴動に関与している」と非難している。

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