◎2018年に崩壊したイラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。
2010年10月26日/イランのブーシェフル原子力発電所(Mehr News Agency/Majid Asgaripour)

国際原子力機関(IAEA)は3日、イランは高濃縮ウランの備蓄を大幅に増やしたという見方を示した。

AP通信によると、IAEAは加盟国向けの四半期報告書の中で、「イランは濃度を60%まで高めたウランを推定33.2kg保有しており、昨年11月から15.5kg増加した」と説明した。

2018年に崩壊したイラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用

ドナルド・トランプ前米大統領は2018年に合意から撤退し、イランの外国資産を凍結したうえで、イランの原油、天然ガス、石油化学製品に対する投資を禁止した。しかし、イランは制裁発動後も中国などの同盟国に原油を輸出し続けている。

世界の主要国はイランの核開発計画を抑制しようとしてきた。今回IAEAが示した33.2kgは、イランが核兵器の製造に必要な保有量に近づいていることを意味する。

IAEAは報告書の中で、イランが保有する全濃縮ウランは2月19日時点で3,197.1kgに達し、前期から707.4kg増加したと推定した。

またIAEAは、昨年イランが国連の査察団の受け入れを拒否したことで、正確な備蓄量は確認できていないと強調した。

イギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシアの高官は昨年11月からウィーンでイラン当局者と会談し、核合意の再開に向けた交渉を続けている。

イランは米国の制裁解除を求めている。

IAEAのグロッシ事務局長は3日未明の声明で、「5日にイランを訪問し政府高官と会談する予定」と明らかにした。

グロッシ事務局長は2日の記者会見の中で、イラン政府高官との協力や進展は期待できるかと記者に問われ、「IAEAは懸命に働いている」と述べていた。

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