◎この攻撃で少なくとも6棟の建物が全壊、大きなクレーターができた。
ヒズボラの首長ナスララ師(Getty Images)

レバノンの過激派ヒズボラが28日、イスラエル軍による首都ベイルートへの空爆で最高指導者ナスララ(Hassan Nasrallah)師が死亡したことを確認、報復を誓った。

イスラエル軍は27日の空爆でナスララ師を殺害。その後も、レバノン南部やベイルートへの空爆を継続している。

国営イラン通信(IRNA)は28日、ナスララ師への空爆でイラン革命防衛隊(IRGC)の副司令官も死亡したと報じた。

この副司令官はイラン国内の抗議デモを弾圧したとして、米国から制裁を受けていた。

ヒズボラはイスラエル軍が声明を出した後、ナスララ師が「殉教者」に加わったことを認め、国際社会が戦争の拡大に懸念を示す中、「イスラエルとの聖戦および、ガザ地区への支援を継続する」と誓った。

イスラエル軍は27日夕方、ベイルート南部のヒズボラの中央本部に地下の標的を攻撃するよう設計された地中貫通型爆弾(バンカーバスター)を撃ち込んだとみられる。

この攻撃で少なくとも6棟の建物が全壊、大きなクレーターができた。

ナスララ師は2006年以来、公の場に姿を現すことはほとんどなかった。

ナスララ師は1992年に32歳で最高指導者に選出された。前任はイスラエル軍に殺害されていた。

ヒズボラは28日の声明で、ナスララ師が偉大な殉教者の仲間に加わったと述べ、イスラエルへの報復を宣言した。

イスラエルのネタニヤフ(Lloyd Austin)首相は28日、ナスララ師暗殺について、「虐殺に手を貸した者たちの末路だ」と成果を誇示。ヒズボラ壊滅まで攻撃を継続すると強調した。

米国のバイデン(Joe Biden)大統領は28日声明で、ナスララ師の死を歓迎。「何千人ものアメリカ人、イスラエル人、レバノン市民を含む多くの犠牲者に対する正義を遂行した」と述べた。

ガザ地区のイスラム組織ハマスはナスララ師暗殺を「卑怯なテロ」と呼び、ヒズボラとの連帯を表明した。

パレスチナ自治政府のアッバス(Mahmoud Abbas)議長は空爆を「イスラエルの残忍な侵略」と呼び、厳しく非難した。

イランのペゼシュキアン(Masoud Pezeshkian)大統領もイスラエルを非難。「シオニストどもに武器を提供する米国も罪に問われるべきだ」と指摘した。

イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は5日間、国を挙げて喪に服すと宣言。この地域の運命はヒズボラを頂点とするレジスタンスが決めると主張した。

イラクとトルコの首脳、イエメンのフーシ派もイスラエルを非難。国連はベイルートの市街地が空爆にさらされていることに深刻な懸念を示し、即時停戦を改めて強く呼びかけた。

ロシア外務省はイスラエル軍を批判したうえで、敵対行為をやめ、協議に応じるよう促した。

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