◎カイロ平和サミットには数十カ国の首脳や外相などが出席。共同声明は採択されずに閉幕した。
2023年10月21日/エジプトとパレスチナ・ガザ地区を結ぶラファ検問所(ロイター)

エジプトのシシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領は21日、首都カイロで開催されたイスラエル・ハマス紛争に関する首脳会議で「パレスチナ人の移住(国外退避含む)は選択肢にない」と強調した。

カイロ平和サミットには数十カ国の首脳や外相などが出席。共同声明は採択されずに閉幕した。

シシ大統領は記者会見で、「唯一の解決策はパレスチナ国家の建設である」と言明した。

イスラエル軍とガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスにより戦闘の死者は6000人近くに達し、今も増え続けている。

ガザ地区の住民約200万人は水、食料、電気、燃料を遮断され、危機的状況にある。そのうち約100万人が南部のラファ検問所近くに避難した。

現地メディアによると、エジプトとガザ地区を結ぶラファ検問所は一時的に開放されたものの、避難者が必要とする食料と水を確保できる見通しは全く立っていない。

国連機関も「全然足りない」「もっとトラックを通せ」と訴えている。

エジプト側には支援物資を積んだトラックが数千台立ち往生しているとみられる。国連はガザ地区で人道支援を必要としている人の数を120万人と見積もっている。

国連が物資の分配を担当し、その多くは数千人が避難している国連の学校や病院に送られるようだ。

一部のメディアはラファ検問所を通過したトラックの中に棺桶を積んだものがあったと伝えている。

バイデン(Joe Biden)米大統領は21日、援助を許可したエジプト、イスラエル、国連に謝意を示した。

イスラエル軍は援助がハマスの手に渡ることを恐れ、燃料の通過を認めていない。ガザ地区の病院は自家発で何度か機能を維持している。

イスラエル政府はガザ地区からハマスを消し去ると宣言している。

シシ大統領は声明の中で、「パレスチナ人がラファ検問所を越えてエジプトに避難することを許さない」と言明した。「それはパレスチナ国家の建設を諦めることを意味します...」

エジプト外務省もこの発言を支持した。

パレスチナ自治区のアッバス(Mahmoud Abbas)議長も「ガザ地区の住民を国外に避難させることはできない」と述べた。「ガザの住民はそこにとどまります。何が起きようと絶対です。私たちは自分たちの領土にとどまるのです...」

イスラエル軍は陸海空からガザ地区を攻め立て、ハマスを抹殺した後、この地域の政治や安全保障について関係国と協議する用意があるとしている。

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