◎調査は爆発事故後に起訴された元政府高官からの異議申し立ての影響で1カ月以上中断されていた。
12月7日、レバノンの裁判所は昨年8月に発生したベイルート港の爆発事故の調査に対する異議申し立てを却下し、調査の継続を許可した。
調査は事故後に起訴された元政府高官からの異議申し立ての影響で1カ月以上中断されていた。
国営通信社によると、ベイルートの控訴裁判所は首席調査官のタレク・ビータール判事の調査に対する異議申し立てと解任要求を却下したという。
ビータール判事はレバノンを支配するイスラム過激派組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ氏から、政治的な理由で偏った調査を行っていると繰り返し非難されてきた。
ビータール判事はヒズボラとつながりの深い政府高官やベイルート港の運営関係者を起訴しているが、その一部は検察の出頭要請を却下している。
一部の反ヒズボラ派の高官はビータール判事の調査を支持したと伝えられている。結果、グループ間抗争は激化し、政府はマヒ状態に陥った。ヒズボラとその同盟グループはビータール判事の更迭と調査の終了を要求している。
ベイルート港の倉庫に不適切に保管されていた硝酸アンモニウムは2020年8月4日に爆発し、消防士や子供を含む少なくとも214人が死亡、6,000人以上が負傷し、約30万人が住居を失った。
事故から1年以上経過したにもかかわらず、硝酸アンモニウムの保管が許可された理由や爆発に至った経緯などはほとんど不明のままである。
独立系メディアや権利団体などの調査によると、政府の高官や安全保障当局者は港に危険物が不適切に保管されていることを認識していたが、予防策を講じることなく、問題を放置し続けていた可能性が極めて高いという。
レバノンは過去150年で世界最悪のひとつと見なされている経済危機の真っただ中にあり、貧困率は人口の75%を超え、通貨は暴落し、ハイパーインフレは国民の預金を紙屑に変え、失業率を前例のないレベルに押し上げた。