◎アフガン中央銀行が海外に保有していた資産は西側諸国に差し押さえられている。
2022年6月23日/アフガニスタン、パクティカ州郊外の村(Ali Khara/ロイター通信)

アフガニスタンのタリバンは25日、東部地域で発生した地震の被災者を支援するためには同国の中央銀行の資産凍結を解除する必要があると国際社会に呼びかけた。

人道団体はアフガンに援助を提供しているが、国の運営に必要な資金を提供してきたIMF(国際通貨基金)を含む国際機関は昨年8月以降、融資を停止している。

アフガン中央銀行が海外に保有していた資産は西側諸国に差し押さえられている。

外務省の報道官は25日、ロイター通信のインタビューの中で、「我々は最も基本的な権利、つまり生きる権利を保障するよう国際社会に呼びかけている」と語った。「国際社会はアフガン国民の生きる権利を優先すべきです」

22日未明に東部地域で発生したM6.1の地震では1150人以上が死亡、約2000人が負傷し、1万戸近くの家屋が全壊または損壊した。

一部の人道団体は、タリバンが過去に援助物資を横流ししたり、人道団体が提供した物資を自分たちが準備したように見せかけたりしたことに不満を表明している。

深刻な被害を受けた南東部パクティカ州のタリバン当局者はAFP通信のインタビューの中で、「政府は国際機関の援助を妨害しない」と語った。「WFP(世界食糧計画)、ユニセフ、その他の全ての人道団体。彼らは自分たちで配給を行うでしょう」

「アフガニスタンの責任ある政府は人道団体と共にあります。私たちは彼らの活動に感謝しています...」

アフガンではユーラシアプレートとインドプレートの境界近くに位置するヒンズークシ山脈周辺で地震が多発している。

今回の地震はこの20年で最大規模とみられ、大雨の影響を受けていた地域を直撃し、土砂崩れや落石を引き起こした。また、一部の電波塔や送電線も倒壊し、通信に深刻な影響が出ている。

当局は1万戸近くの家屋が被害を受けたと報告している。また当局は被災地の1世帯あたりの人数を20人以上と推定しており、人道団体も10万~20万人が家を失った可能性があると警告している。

一部の専門家は、西側諸国がアフガン中央銀行の資産凍結を解除する可能性は低いと予想している。ある活動家はSNSに、「タリバンが女性の権利を含む基本的人権を保障しない限り、凍結を解除すべきではない」と投稿した。

米国のバイデン(Joe Biden)大統領は今年2月、凍結したアフガン中央銀行の資産70億ドルのおよそ半分を9.11遺族の支援に充てる大統領令にも署名した。

残りは国連管理の信託基金としてアフガン国民の援助に充てられる予定だが、アフガン中央銀行がタリバンの影響を受けないと確約できるのであれば、同行に戻される可能性もある。

9.11の遺族はアフガン中央銀行の資産をすべて補償に充てるよう裁判所に求めている。同行は約90億ドルの資産を海外に保有しており、残りは主にドイツ、UAE、スイスにある。

2022年6月23日/アフガニスタン、パクティカ州郊外の村(ロイター通信)
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