◎ヒズボラの戦闘員数は数万人とされ、イスラエル全土を攻撃可能な精密誘導ミサイルやロケット弾を約15万発保有しているとみられる。
2023年4月14日/レバノン、首都ベイルート、イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の首長ナスララ師の演説を聞く市民(Hussein Malla/AP通信)

イスラエルとレバノンの国境沿いで戦闘が相次ぎ、イスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員5人が死亡した。ヒズボラのメディア部門が17日、明らかにした。

パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が始まって以来、レバノン国境では小競り合いが続いている。

ヒズボラはここ数日の銃撃・砲撃戦で戦闘員少なくとも10人が死亡したと報告している。

イスラエル軍のハレビ(Herzi Halevi)参謀総長は17日の声明で、「ヒズボラがエスカレートした場合、イスラエルは積極的に報復する」と述べた。

またハレビ氏はレバノン側からの攻撃が相次いでいることについて、「これは侵略戦争、本土決戦だ」と述べ、「それが起きた時、ヒズボラは消滅する」と警告した。

ヒズボラはイランと並んでハマスを強く支持し、「イスラエル軍がガザ空爆をやめなければ中東全域を巻き込んだ大戦に発展する可能性がある」と警告している。

ヒズボラの戦闘員数は数万人とされ、イスラエル全土を攻撃可能な精密誘導ミサイルやロケット弾を約15万発保有しているとみられる。

イスラエルはヒズボラをハマス以上の脅威と考えている。これまでのところ、ヒズボラとイスラエル軍の砲撃戦は国境沿いのいくつかの地域に限られている。

イスラエルはヒズボラが新たな戦線を開けば、レバノン全土が被害を受けることになると脅している。

レバノンは近代史上最悪と呼ばれる経済危機の真っただ中にあり、通貨はこの数年で紙くずになり、目を覆いたくようなインフレに直面。人口の4分の3以上が極度の貧困に陥っている。

多くの専門家が現在のレバノンに戦争をする余裕など微塵もないと指摘している。

イスラエルとヒズボラによる2006年の戦争(レバノン侵攻)は引き分けに終わった。それ以来、ヒズボラの軍事力は著しく向上し、シリア、イラク、その他の地域で重要な軍事的アクターとなった。

国際社会はイスラエルとハマスの衝突がレバノンやイランを巻き込んだ戦争に発展しないよう奔走している。

バイデン(Joe Biden)米大統領は18日にイスラエルを訪問し、ネタニヤフ()首相と会談する予定だ。

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