トランプ大統領が気にかけているもの

 就任以来、世界の注目を一身に集めてきたトランプ大統領。11月3日の大統領選挙に向けて順調に成果をアピールしてきたが、コロナウイルスの襲来により、雲行きが怪しくなってきた

 これまで強調してきた成果の中で、トランプ大統領が気にかけているもの。ひとつ目は共和党支持者からの評価、二つ目が株式市場の動向だ。前者に関しては当然であろう。11月の大統領選で勝利するためには、共和党支持者/支持層からの評価を確固たるものにしなければならない。

 株式市場については、自身の評価の「バロメーター」になると考えており、常に動向をチェック、任期期間中に株価が大きく上昇したことを強調してきた。トランプ大統領の計算では、株価が史上最高値を更新し続けることで、自身の支持率も上がり、大統領選挙勝利につなげる、という算段だった

 トランプ大統領はダウ平均株価またはS&P500(株価指数)が最高値を更新するごとにツイートを発信、その回数は280回にものぼる。任期期間中に株価が上昇したことは事実、そしてトランプ大統領がそれを何より気にかけていることも周知の事実である。

 10日、コロナウイルスの影響でダウ平均株価は史上最大の下げ幅を記録、ウォール街のトレーダーたちの投げ売りは止まらず、歴代最高値を更新し続けてきた株価はわずか数日で3,000ドル以上値下がりした。

 ワシントン州での感染拡大、グランド・プリンセス号の入港および乗船者の隔離、株価の大暴落。コロナウイルスの感染拡大は、トランプ大統領がこれまでに抱えてきた問題とは明らかに「」が異なる。検査費を支払えない貧困層などへの救済など、対応・判断を誤れば、致命的な事態を招きかねない。株価の大暴落はもちろん、感染拡大、大規模な人命の損失、経済に与える影響は計り知れない。

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