◎2022年の石炭消費量は前年比で1.2%増となり、2013年の記録を更新する80億トン以上に達する見込み。
ドイツの炭鉱(Michael Probst/AP通信)

国際エネルギー機関(IEA)は16日、今年の世界の石炭消費量が過去最高を更新する見込みであると明らかにした。

IEAによると、2022年の石炭消費量は前年比で1.2%増となり、2013年の記録を更新する80億トン以上に達する見込みだという。

IEAはレポートの中で、「クリーンエネルギーへの移行を加速させるより強力な取り組みがない場合、世界の石炭消費量は来年も同様のレベルで推移するだろう」と述べ、アジアの新興国が国際社会の努力を相殺していると指摘した。

またIEAは、「今年の結果は石炭が世界のエネルギーシステムにおいて、最大の二酸化炭素排出源であることを意味する」とした。

先進国は7年前のCOP21で地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温のプラス2度以下、可能であれば1.5度以下に抑えることに合意した。

しかし、専門家によると、パリ協定で各国政府が合意したこの目標の達成は、世界の平均気温が産業革命以前よりすでに1.2度上昇していることを考えると、極めて困難だという。

IEAはロシアのウクライナ侵攻による原油・ガス価格の高騰で石炭への依存度が高まっていると指摘した。

先進国の石炭消費量は再生可能エネルギー・ガス火力発電・原発の増加を受け、減少傾向にある。

しかし、世界最大の石炭消費国である中国は昨年発生したような電力不足を避けるため、2025年までは石炭火力の発電量を増やす予定としている。

また、一部の欧州諸国も原油・ガス価格の高騰を受け、閉鎖した石炭火力発電所の運用を再開している。

南アフリカ、インドネシア、ベトナムは昨年、先進国と投資協定を結び、風力や太陽光などの再生可能エネルギーへの転換を促進する取り組みを開始した。

中国、山西省河津の石炭火力発電所(Getty Images/AFP通信)
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