燃え続ける西海岸の森と街

9月12日、オレゴン州緊急管理局によると、数十万エーカーを焦土に変えた山火事の影響で、推定50万人のオレゴン住民が住居を失う可能性に直面しているという。

現在も西海岸の約70地点で延焼が続いており、致命的なレベルの大気質が放出されている。

スイスの大気質技術企業である「IQ Air」によると、11日夜時点のポートランド、シアトル、サンフランシスコ近辺の大気質は世界ワースト3だったという。なお、煙と靄に覆われているロサンゼルスは7位だった。

今年の西海岸森林火災では、これまでに少なくとも26人の死亡が確認され、そのうち19人が今週発生した山火事の犠牲者である。

オレゴン州のケイト・ブラウン州知事は、壊滅的な炎の影響による物価高騰を防ぐ州知事令に署名、発出した。

ケイト・ブラウン州知事:
「これはいくつかの重要な消費財やサービス、宿泊施設料金の大幅な高騰が報告されたことに対処するものである。州全体が壊滅的な被害を受けている中、一部の物価、施設利用料などが高騰している現状を受け入れることはできない」

「何千、何万もの住人が州内のモーテルや避難所で身を寄せ合っている。炎から身を守りつつ、皆の生活と食事、安全を確保することが重要であり、ありとあらゆる者が協力し合わねばならない」

12日朝の時点で、100万エーカー超(東京都面積の1.8個分)の山火事が計37地点で発生、オレゴン州は炎と煙に包まれている。

ビーチー川周辺では186,000エーカーが焼け野原になっているものの、地形等の影響で消火活動はほとんど行えていない。これまでに河川周辺で生活していた2人が死亡、4人の負傷が確認された。

ホリデイファーム周辺では156,000エーカーが焼け、消火活動は行われていない。レーン郡保安官事務所によると、1人の死亡が確認されたという。

ライオンズヘッドでは136,000エーカーが全焼。少なくとも4人が負傷し、消防および山岳消防隊による懸命の消火活動が続いている

消防当局によると、130,000エーカーを燃やし尽くしたリバーサイドエリアと、107,000エーカーを焼いたアーチ―川沿いの山火事が激しさを増しているという。

州および地方自治体の緊急対応要員たちが炎に立ち向かっている中、州政府は連邦政府や関係機関からの支援を求めている。

オレゴン州議会議員の代表団は、ドナルド・トランプ大統領に災害援助を求める書簡を提出。大統領令への署名により、緊急事態が宣言、承認された。

これに伴い、ホワイトハウスは以下の声明を発表した。

ホワイトハウス:
「緊急事態の宣言により、連邦緊急事態管理局(FEMA)は地元住民にもたらされた困難と苦しみの緩和を目的としたありとあらゆる災害救援活動に取り組む」

「適切な支援の提供を約束し、ひとりでも多くの命を救う。そして、財産、公衆の健康、安全の確保に努め、山火事への緊急措置対応を開始する」

巨大な山火事は致命的な死を招く

炎との闘い

カリフォルニア州では、少なくとも14,000人の消防士および山岳消防士が28地点の主要な山火事に立ち向かい、消火活動を続けている。彼らは、1カ月近く燃え盛る炎と対峙してきた。

2020年、同州だけでこれまでに310万エーカー以上が焼け、今なお延焼し続けている

ベアマウンテン周辺ではこれまでに少なくとも252,500エーカーが焼け野原になり、10人の死亡が確認されている。また、約2,000棟の建造物が全焼した。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム州知事は、シスキュー郡の緊急事態を宣言。同郡の山間部では140,000エーカーが全焼、峻険な土地の影響で消火活動は行われておらず、炎は激しく燃え続けている。

カリフォルニア州で発生した山火事の焼失面積TOP20のうち、6件は2020年のものである。

オレゴン州ボートランド郊外を含む最も人口の多い地域で発生した山火事により、数十名が行方不明になっている。

オレゴン州非常事態管理局長を務めるアンドリュー・フェルプス氏は、「数十名規模の死亡事故を覚悟」しており、何千もの建造物が破壊されたと述べた。

同州のブラウン州知事は、約50万人が避難警戒区域に該当し、「区域内の人々は、大至急避難準備を終えねばならない」と声明を発表した。

現在、州非常事態管理局は約50万人に対し、避難所もしくは安全を確保できる場所に退避するよう求めている。

11日夜の記者会見でブラウン州知事は、南部ジャクソン郡およびマリオン郡で数十名が行方不明になっていると述べた。

オレゴン州矯正局は、ポートランド南部郊外の女性刑務所から約1,300人を移送したと発表。同矯正局のスポークスマンを務めるヴァネッサ・ヴァンダージー氏によると、10日夜に受刑者たちを安全地帯の刑務所に移送したという。

同州の消防情報チームを指揮するステファン・マイヤーズ氏は、以下のように述べた。

ステファン・マイヤーズ氏:
「昨日は風の影響を受け、消防隊は前進できなかった。しかし、火も西の市街地エリアには進行できなかった

「太平洋からもたらされた強烈な風は、火災の進行を阻み、後退させた」

マイヤーズ氏によると、500人近くの消防士が延焼エリアから数マイル離れた地点で消火活動を行っているという。

11日、ジャクソン郡保安官のネイサン・シックラー氏は、41歳の男をオレゴン州南部フェニックス地域の山火事2件に関与疑いで逮捕したと述べた。

シックラー氏によると、男は2件目の発火点で逮捕されたものの、放火を否定しているという。なお、男が関与したと思われる最初の発火点から発生した山火事は、現在も延焼し続けている。

ワシントン州のジェイ・インスリー州知事は、過去5日間で焼失した面積は、史上2番目の規模に達した2015年の山火事を上回ったと述べ、山火事を「気候変動火災」と呼んだ。

ジェイ・インスリー州知事:
気候変動火災は神がもたらしたものではない。これはワシントン州の大気を破壊、劇的に悪化させた。人類によってもたらされた炎は、住民から大切なものを奪っている」

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