アメリカ西海岸が燃えている

9月10日、オレゴン州のケイト・ブラウン州知事は声明を発表。西海岸を襲った壊滅的な山火事により、同州、カリフォルニア州、ワシントン州でこれまでに8人の死亡が確認され、焼失面積と死者数はさらに増加する恐れがあると語った。

ケイト・ブラウン州知事:
「オレゴン州は前例のない火災を経験しており、住人、自治体、動植物は壊滅的な影響を受けている」

私たちの最優先事項は人命を守ることである。避難指示が出ている地域の住人は、家族や知人、ペットを連れ、すみやかに行動してほしい。今回の火災はオレゴン州の歴史の中で、最も大きな損失をもたらす可能性がある。自分と家族の命を守ってほしい」

オレゴン州緊急事態管理局によると、9月10日午後の時点で35件の山火事が進行中、同日早朝時点で954,000エーカー(東京ドーム82,573個相当)が焼失したという。

緊急事態管理局担当者は、これまでに数万人の住人が避難を余儀なくされ、何千もの建造物が破壊されたと述べた。

9月10日午後時点、オレゴン州では3人の死亡が報告されており、マリオン郡のサンティアム川流域で2人、ジャクソン郡メドフォードで1人が亡くなった。

州南部、ジャクソン郡の火災は、何百もの民家と企業のオフィスや施設を焼き、多くの有名人やタレントも避難を余儀なくされた。ジャクソン郡保安官事務所によると、今後死者数はさらに増加する可能性があるという。

ジャクソン郡のネイト・シックラー保安官は、焼死体が発見されたアルメダ地域周辺で警察および消防による捜査を強化したと述べた。

オレゴン州グラント郡のビーチ・クリークでは、これまでに182,000エーカーを焼失。リバーサイド地区では112,000エーカーを焼失。山間部の峻険地や消火活動に適さない危険な場所に炎が燃え広がっているため、消火活動は困難を極めている。

【オレゴン州の主要な火災地域/延焼面積】
・ビーチ・クリーク 182,000エーカー(延焼中)
・リバーサイド 112,000エーカー(延焼中)
・ライオンヘッド 109,000エーカー(延焼中)
・アーチー川流域 68,000エーカー(延焼中)

同州クラカマス郡では、4カ所で同時多発的に火災が発生し、数千人が避難した。現時点で民家16棟、230超の建造物が全焼し、数百棟の民家に炎が迫っているという。クラカマス郡長は、全地域に避難指示や勧告等を発出、事態はさらに悪化すると警告した。

一連の山火事発生および被害を受け、オレゴン州議会議員はドナルド・トランプ大統領に緊急事態宣言および緊急災害資金を承認するよう要請した。

ピーター・デファジオ下院議員は、他のオレゴン州議会議員と共にトランプ大統領充ての書簡を提出、声明を発表した。

ピーター・デファジオ下院議員:
連邦政府は必要なリソースを西海岸の延焼地域に提供し、地方自治体、地域コミュニティ、そして住人たちをサポートしなければならない」

「山火事はオレゴン州全域に深刻な影響をもたらし、加速し続けている。住人が必要とするリソースを確保するために、速やかな緊急事態宣言をお願いする。一連の壊滅的な山火事に対応し、街の再興を早めるためにも・・・」

同州のジェフ・マークリー上院議員は、「オレゴンに広がった炎、延焼面積、発生地点、規模は前例がなく、住人たちは救済を必要としている」とツイートした。

マークリー上院議員は、同州議会の代表団を率い、火災への対処、管理、回復に向けた必要措置の実施および連邦政府への支援要請を行っている。

山火事がもたらした大量の煙の影響で、ワシントン州全域、カリフォルニア州中央部一帯で焦げ臭い匂いが漂っている。当局は同地域等での大気質警報(大気汚染警戒警報)を継続しており、住人に対し、不要不急の外出および窓の開放を控えるよう呼び掛けている。

山火事はオレゴンの町全体を破壊

オレンジ色の空

オレゴン州南部、ゴールデンステートの空は、山火事の炎と煙の影響で不気味なオレンジ色に染まった

サンフランシスコのトレジャーアイランド全域、その他広大なエリアの空もオレンジ色の煙と靄(もや)に覆われた。

カリフォルニア州フレズノ郡で発生した大規模な山火事では、これまでに175,000エーカー以上を焼失。消火活動に適さない地域で延焼が進んでおり、鎮火の目処は立っていない。なお、同郡では45,000人以上が避難を余儀なくされ、365以上の建造物が焼失した。

ビュート郡のコリー・ホネア保安官は、同一施設内で2人、別の場所で1人、計3人の遺体が発見されたと述べた。また、遺体の身元は特定されておらず、現時点で少なくとも12人の行方が分からないという。

カリフォルニア州での山火事の焼失面積TOP20のうち、6件が2020年に発生したものである。

同州のギャビン・ニューサム州知事は、サンフランシスコおよび他のエリアで確認されたオレンジ色の空は、「私たちに変化を求めている」と語った。

ギャビン・ニューサム州知事:
「記録的な乾燥、落雷が山火事を招いている。そして、それらが地球レベルの異常気象によってもたらされていることは明らかである」

「世界中で発生している同種の山火事を防ぐためには、国家として気候変動に対処し、環境汚染を防がねばならない」

「カリフォルニア州は山火事防止のために大量の予算を投じ、大胆な気候政策も制定した。が、それだけでは到底足りない。気候変動のさらなる悪化を防ぐあらゆる手立てが必要である。個人、企業、地方自治体、国家、そして地球規模で行動しなければ事態はさらに悪化する」

オレゴン州立消防局のマリアナ・ルイス副消防署長は、山火事の発生地点があまりに多く、さらに、消防士の立ち入れないエリアで延焼が進んでいるため、正確な被害状況を把握できていないと述べた。

マリアナ・ルイス副消防署長:
「消防士の立ち入れないエリアで延焼が続いている。私たちはその領域に踏み込めない。延焼を防ぐべく山岳消防隊も活動しているが、対処は困難を極めている」

ワシントン州北東部では、延焼から逃れようとした家族が被災。トニー・ホーリー保安官は、1歳の少年の死亡が確認されたと述べた。また、両親も第3度の火傷を負い、シアトルの病院に搬送されたという。

オレゴン州リンカーン郡の緊急事態管理担当報道官、ケイシー・ミラー氏は記者団に対し、「火災は都市に延焼している。一部地域では数百から数千棟が焼失、現在調査を進めている」と述べた。

歩道や道路に倒れた倒木を処理し、避難者の退路を確保しているクラッカマス郡のクレイグ・ロバーツ保安官は以下のように述べた。

クレイグ・ロバーツ保安官:
「私は田舎町のコミュニティを回り、住人に避難を促した。9月8日以来、少なくとも16,000人以上が住居を捨て、避難所に向かった

「乾燥した強風は延焼速度を加速させる。私たちに残された時間は少ない」

オレゴン州立消防局のダグ・グラフ消防隊長は、2017年と2018年に発生したカスケード山脈およびその周辺での山火事をはるかに凌ぐ被害が出ていると述べた。

ダグ・グラフ消防隊長:
「私たちは、この規模の火災に対処したことがない」

「消防隊は住人の安全確保を最優先に行動している。人命救助と民家や建造物への延焼を防ぐことが第一目標であり、山間部で進む延焼への対処は後回しにせざるを得ない状況だ」

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