◎原発の発電量は他の再生可能エネルギーとは比べ物にならないが、建設と核廃棄物の処理に膨大な費用がかかる。
イギリスの原子力発電所(Getty Images)

イギリス政府は20日、600万世帯に電力を供給できる原子力発電所の新設計画を承認した。

ビジネス・エネルギー・産業戦略相のクワーテング(Kwasi Kwarteng)氏は、「イングランド東部サフォークの海岸沿いに建設を計画しているサイズウェル原発の開発許可が下りた」と発表した。

この建設プロジェクトに出資しているフランス電力(EDF)によると、この原発は少なくとも60年間発電し、900人の新規雇用を生み出すという。建設費用は200億ポンド(約3兆3000億円)と見積もられている。

クワーテング氏は、「この発電所は2050年までに国内の消費電力の最大4分の1を原発で賄うというイギリスの計画に大きく貢献する」とした。

記者会見に同席したプロジェクトの融資担当者は、「原発がもたらす利益は建設コストを上回る」と強調した。

「サイズウェル原発は国内の原子力サプライチェーン企業の雇用とスキルを大きく向上させます。さらに、イギリスのエネルギー安全保障を強化し、気候変動との戦いにおいて重要な役割を果たすでしょう」

原発の発電量は他の再生可能エネルギーとは比べ物にならないが、建設と核廃棄物の処理に膨大な費用がかかる。

BBCニュースなどによると、この原発計画に反対する環境保護団体や活動家は、カワウソや湿地帯の野鳥などを保護している自然保護区に深刻な影響を与えると警告している。

イギリスは原油と天然ガスの輸入量を減らすために、より安価でクリーンな発電の割合を増やしたいと考えている。

政府は2030年までに国内で消費する電力の95%を低炭素電源(温室効果ガスの排出量が少ない電源)で供給するという目標を掲げている。

また、今年4月に公表したエネルギー安全保障戦略では、「イギリスが開拓した技術である原発で再び世界をリードすることを望む」とした。

イギリスの電力供給における原発の割合は約15%。現在稼働している6基のうち5基は10年以内に廃炉になる予定だ。

サイズウェル原発は現在準備が進められている2つの原発の1つで、もうひとつのヒンクリー原発は2026年半ばに運用を開始する予定である。

環境保護団体「ストップ・サイズウェル」は法的措置を検討するとウェブサイトに投稿している。「原発は非常に非常にリスキーであり、無駄に高価であり、悪いプロジェクトであり、最も危険な核汚染物質を垂れ流し...」

BBCによると、政府はサイズウェル原発の調査工事に約1億ポンド(165億円)を投じ、建設費用を確保するための交渉を続けているという。

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