◎ルーマニアには約50万ヘクタールの広大な原生林がある。
2021年9月9日/ルーマニア、ファガラス山脈の渓谷(Agent Green/AP通信)

環境保護団体によると、ルーマニアがEUから違法な森林伐採を止めるよう警告を受けてから2年が経過したが、ルーマニア政府はEU法で保護されている地域の違法伐採や自然破壊に対処できていないという。

非政府組織エージェント・グリーン、ユーロ・ナチュール、クライアント・アースがまとめたレポートは、「2020年2月に欧州委員会が警告を出して以来、ナチュラ2000サイト(EU法で保護されている特別価値のある地域)における広範な自然破壊が激化している」と報告した。

欧州委員会は当時、「ルーマニア当局はEU法で保護されている地域の事前環境調査を実施することなく、伐採業者に許可を与えている」と述べていた。その後、EUはルーマニア政府に問題に対処する期間を1カ月間与え、2020年7月に最終勧告を出した。

エージェント・グリーンの代表はAP通信のインタビューの中で、「違法伐採を阻止するというEUの勧告はパニック伐採を誘発した」と述べた。「調査の結果、保護地域の違法伐採は明らかに増加していました。これは伐採の許可申請が厳しくなる前に材木を確保しようとするパニック伐採だと考えています」

レポートによると、ルーマニア政府はナチュラ2000の違法伐採を止めるためにほとんど何もしておらず、広範な自然破壊が続いているという。

3つの環境保護団体は今週、欧州委員会に対し、この事件を欧州司法裁判所に付託するよう要請する予定である。

2007年にEUに加盟したルーマニアには約50万ヘクタールの広大な原生林がある。

しかし、歴代のルーマニア政府は「木材マフィア」と呼ばれている違法伐採業者の取り締まりに苦労してきた。

エージェント・グリーンの調査員は昨年8月から10月にかけて、EU勧告の対象地域である4つのナチュラ2000サイトを現地調査、衛星画像、国の伐採許可をまとめる公的データベースのデータを組み合わせて監視した。

ルーマニア環境省の広報担当者はAP通信の取材に対し、「EU勧告以来、違法伐採が増加したという証拠はない」と述べ、同省が昨年実施した措置は違法伐採を防いでいると主張した。

同省は2021年に違法伐採に対する刑罰と取り締まりが強化された結果、裁判所に付託されたケースは2020年と比較すると47%増加したと報告している。

2020年2月12日/ルーマニアの山間部(Getty Images/AFP通信/PAメディア)
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