◎オークランド空港は全便欠航となり、ターミナルビルの一部も浸水。数百人が空港内で一夜を明かした。
2023年1月27日/ニュージーランド、オークランドの道路(Hayden Woodward/New Zealand Herald)

ニュージーランド当局は28日、最大都市オークランドの一部地域で豪雨による洪水が発生し、少なくとも3人が死亡、1人が行方不明と発表した。

地方政府は市全域を対象とする非常事態宣言を発令。ヒプキンス(Chris Hipkins)首相は軍用機でオークランドに飛んだ。

ヒプキンス氏は記者団に対し、「関係閣僚に人命を最優先するよう命じた」と語った。

またヒプキンス氏はオークランド市民に対し、可能な限り安全な屋内にとどまるよう求めた。

気象当局によると、オークランドの27日の雨量は統計を取り始めて以来最高を記録し、一部地域の3時間雨量は150mmに達したという。これは市の月間降水量のほぼ2倍に相当する。

この雨で市内の高速道路は冠水し、多くの家屋が浸水した。オークランド空港は全便欠航となり、ターミナルビルの一部も浸水。数百人が空港内で一夜を明かした。

警察によると、市内の冠水した暗渠(あんきょ)で1人、駐車場で1人の死亡を確認した。また、民家1戸が土砂崩れに巻き込まれ、1人が行方不明になっているという。

警察はこれまでに3人の死亡が確認し、少なくとも1人が行方不明と報告した。電力会社によると、一部地域で発生した停電はおおむね解消したものの、28日午前の時点で約3500戸が停電している。

SNSで共有された動画には胸の高さまで冠水した道路を進む人々が映っていた。

連邦議会のメネンデス(Ricardo Menéndez)議員は自宅に水が押し寄せる動画とコメントをツイート。「避難せざるを得なくなった」と報告した。

消防庁によると、オークランド市内で一晩に2000件以上緊急通報が入り、700件以上の災害に対応したという。消防士は27~28日の間に冠水被害などに遭った市民126人を救助した。

一方、ニュージーランド航空はオークランド発着の国内線を28日午後に再開したが、国際線の運航再開目途は立っていないとしている。

同社は声明で、「ターミナルビルと滑走路の安全確認を進めている」とし、復旧には数日かかる予定とした。

オークランド空港のターミナルビルで一夜を明かした数百人は28日午前にバスやタクシーで目的地に向かったと伝えられている。

同空港によると、手荷物受取所も浸水したため、荷物の返却は後日になるという。

市内のスタジアムで27日に予定されていたエルトン・ジョン(Elton John)さんのコンサートも開始直前に中止が決まり、28日の2回目のコンサートも中止となった。

コンサートには合わせて8万人が来場すると予想されていた。報道によると、主催者が中止を決めた時点で数千人が会場に入っていたという。

SNSには中止の決定が開始直前になったことに不満を表明する投稿が多数寄せられた。

一方、オークランド市長は緊急事態宣言の発令が雨が強まってから10時間以上経過した27日の午後9時半頃になったことについて、批判をかわした。

市長室は緊急事態宣言のタイミングが適切だったかどうかを確認する作業部会を設置し、必要に応じて規則等を見直すと発表した。

2023年1月28日/ニュージーランド、オークランド行きの軍用機、ヒプキンス首相(Ryan Benton/Pool/AP通信)
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