◎国連環境計画(UNEP)は30日、有毒な燃料である有鉛ガソリンを自動車や大型トラックに使用する国はなくなったと発表した。
2010年9月29日/アルジェリア、首都アルジェの交通渋滞(Anis Belghoul/AP通信)

国連環境計画(UNEP)は30日、有毒な燃料である有鉛ガソリンを自動車や大型トラックに使用する国はなくなったと発表した。

有鉛ガソリンにはエンジンのノッキングを防止するアルキル鉛が添加されており、1920年代初頭に導入された。しかし、テトラエチル鉛、テトラメチル鉛、メチルエチル鉛を含むアルキル鉛は猛毒物質であり、ガソリンと一緒に燃焼することで大気に毒素をバラまき、空気、土壌、水、そして人間に害を与えた。

アルジェリアは先月、有鉛ガソリンの供給を停止し、UNEPに同ガソリンの自動車での使用を公式に終了すると宣言するよう促した。

UNEPのインガー・アンダーセン事務局長は30日の声明で、「有鉛ガソリンの廃止は世界の健康と環境を守る重要な一歩である」と述べた。

またアンダーセン事務局長は、有鉛ガソリンは子供たちの知的障害を誘発し、数百万人の寿命を縮めたことが研究で明らかになっていると付け加えた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は有鉛ガソリンの根絶を「サクセスストーリー」と呼び、2002年から始まったUNEPのキャンペーンと関係国の努力を称賛した。

有鉛ガソリンはエンジン性能を向上させるために販売され、研究者が心臓病、脳卒中、脳損傷を引き起こす可能性があることを発見するまで、何十年もの間広く使用されてきた。

有鉛ガソリンの危険性は1924年に初めて指摘され、アメリカの石油大手スタンダードオイルが運営するニュージャージー州の製油所で5人の労働者が死亡し、さらに数十人が入院したことで論争に火が付いた。

事故を受け、ニューヨーク市、フィラデルフィア、ニュージャージー州は有鉛ガソリンの販売を禁止したが、有鉛ガソリンを製造するために設立されたエチルコーポレーションのパートナーであるゼネラルモーターズ、デュポン、スタンダードオイルは、燃費を維持し、エンジンのノッキングを防ぐ有鉛ガソリンに代わるものはないと主張し、その後欠陥のある研究結果が公表され、論争は収束した。

以来、有鉛ガソリンは1970年代まで世界中のガソリンに添加され続け、その後、裕福な国から段階的に廃止し始めたが、2000年代初頭の時点で86ヵ国がまだ有鉛ガソリンを使用していた。

北朝鮮、ミャンマー、アフガニスタンは2016年までに有鉛ガソリンの販売を停止し、イラク、イエメン、アルジェリアを含むごく一部の国だけが供給を続けていた。

ただし、一部の小型飛行機はまだ有鉛ガソリンを使っている。米国環境保護庁のジャネット・マケイブ副長官は連邦航空局(FAA)と協力してこの問題に対処していると述べた。

グテーレス事務総長は、「有鉛ガソリンの根絶は国際条約が環境問題の取り組みに与える影響を示している」と称賛した。「気候変動、生物多様性の喪失、汚染の三重の危機を終わらせるために、私たちは同じベクトルを向かなければなりません...」

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