◎インドの温室効果ガス排出量は世界第3位であり、国内で消費する電力の7割を石炭で賄っている。
インドの石炭火力発電所(Getty Images)

インド政府は1日、国営電力会社に対し、石炭火力発電所をフル稼働させ、夏の安定供給に必要な供給力を確保するよう命じた。

それによると、4月~6月の間は石炭・石油火力発電を最高出力で運用する予定。

環境活動家はこの決定を非難し、脱化石燃料、脱石炭に向けた取り組みを推し進めるよう求めている。

インドの温室効果ガス排出量は世界第3位であり、国内で消費する電力の7割を石炭で賄っている。

同国には何百もの石炭火力と鉱山が点在している。連邦政府によると、4月~6月の電力需要はコロナの終息により、昨年を大幅に上回る見通しだという。

電力省の報道官は声明で「エネルギー安全保障は国の発展と成長に不可欠であるため、安定供給に必要な電力を確実に確保する必要がある」と述べている。

また報道官は「我が国は気候変動に関する目標を完全に達成しており、今後も達成し続けるだろう」と主張した。

同省によると、2月の全国の電力消費量は前年同月比で10%増。今後数週間も増加傾向が続く見通し。

同国は現在、電力需要のおよそ1割を再生可能エネルギーで賄っている。太陽光と風力設備は急速に伸びているが、それでも石炭に比べると微々たるものである。

連邦政府が2030年までに達成するとしている目標をクリアするためには毎年平均40ギガワット以上の再生可能エネルギーを導入する必要がある。しかし、それを実現するためには膨大な予算が必要だ。

インドは2070年までにネットゼロを達成するとしているが、多くのアナリストが化石燃料に頼りすぎている現状を打破することは困難と予想している。

政府は2022年までに175ギガワットの再生可能エネルギーを導入するという目標を達成できなかった。

最新の世論調査によると、回答者の半数以上が気候変動対策より停電防止に向けた取り組みの強化を望んでいるという。

タイムズ・オブ・インディアの取材に応じた首都ニューデリーの住民は、「昨年のような大停電だけは勘弁してほしい」と語った。「停電のせいで顧客の要望に応えられず、大変な目に遭いました。火力をマックスパワーで運転して停電を回避することが重要です...」

SNSにも似たようなコメントが多数投稿されている。あるツイッターユーザーは「これまで好きなように石炭を燃やしてきた欧州の活動家の言うことなど無視すればいい」と書き込んだ。

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