◎ニューヨーク市は初めて鉄砲水による非常事態を宣言した。
2021年9月2日/ニューヨーク州ママロネック、救助活動の様子(マイク・セガー/ロイター通信)

主要メディアによると、8月29日に南部に上陸した「ハリケーンアイダ」の残骸は北東部地域の広い範囲に大雨と強風をもたらし、少なくとも数十人が死亡したという。

ニューヨーク市で死亡が確認された人は9月2日午後の時点で少なくとも12人、ニュージャージー州は10人。アイダに関連する死亡者は8つの州で少なくとも40人確認された。

NY市のセントラルパーク周辺の1時間雨量(1日午後8時~9時)は80mmを超え、地下鉄は半分水没し、ミッドタウンの通りは川になった。NY市は初めて鉄砲水による非常事態を宣言した。

NY市のビル・デブラシオ市長は2日午前の記者会見で、少なくとも9人の死亡を確認したと発表した。それから間もなく、新たに3人の死亡が報告され、死亡者は12人に増加した。

ジョー・バイデン大統領はNYの大雨について、「9月の1カ月雨量を超える雨が1日で降った」と述べ、犠牲者に哀悼の意を表した。またバイデン大統領は、北東部の州知事に緊急事態管理庁(FEMA)の支援準備は整っていると伝えたことも明らかにした。

NY州のキャシー・ホークル州知事は2日朝の会見で、「ロングアイランド鉄道、メトロ・ノース鉄道、そして市内の地下鉄は運行を停止している」と述べ、州政府は市内の洪水対策と排水機能に焦点を当てていると強調した。「今回の大雨でNYの洪水対策と排水機能の弱さが露呈しました。私たちは気候変動だけでなく、地域の対策も強化しなければなりません」

NY警察の署長は、住宅やアパートの地下室で生活していた市民少なくとも8人の死亡を確認したと発表した。ウェストチェスターでは水没した車の中から1人の遺体を回収し、さらに数名が行方不明と伝えられている。

NY市のクイーンズ区で消防に救助された女性はAP通信の取材に対し、アパートの1階室内に泥水が流れ込んできたと語った。このアパートの地下で生活していた住民3人が溺死した。

国立ハリケーンセンターは8月31日以来、熱帯低気圧(ハリケーンアイダ)が中部地域と北東部地域に局地的な大雨と強風をもたらし、河川の氾濫や洪水を引き起こす可能性があると繰り返し警告していた。

NY市は2日午前1時から5時まで市内への立ち入りを禁止する渡航禁止令を出した。

地下鉄の被害は特に深刻と伝えられており、多くの駅が浸水し、市内の路線は全て運行を停止した。デブラシオ市長は2日午前、ABCニュースの取材に対し、「地下鉄内にとどまっている人々の救助作業を続けている」と述べた。NY州とペンシルベニア州の救助作業は2日午後の時点で継続中。

ペンシルベニア州フィラデルフィア郊外では竜巻が発生し、高校の屋根の一部が吹き飛ばされ、民家も被災した。竜巻の接近前に地下室に避難した女性はAP通信に、「隣の家が粉々に砕け散った」と語った。

フィラデルフィアを流れるスクールキル川の水位は猛烈な勢いで上昇し、堤防を越えた。泥水は民家、高速道路、企業のオフィスに流れ込み、少なくとも数千人が避難を余儀なくされたと伝えられている。

スクールキル川周辺の天候は2日午後までに回復したが、水位はなかなか下がらず、住宅街は泥水に圧倒されている。地元の消防当局者はAP通信に、「私を含む周辺住民は洪水の威力に驚いています」と語った。

1889年のダム決壊事故で2,200人が死亡したペンシルベニア州ジョンズタウンの住民は1日、市内近くのダムの水位が危険なレベルに達したことを受け、非難を命じられた。関係者によると、ダムの数位は1日遅くの時点で危険水位を下回ったという。

大西洋・カリブ海のハリケーンシーズンはまだ終わっておらず、ハリケーンラリーは2日未明に熱帯低気圧からハリケーンになり、さらに急成長すると予想されている。

2021年9月2日/ペンシルベニア州フィラデルフィア、スクールキル川の水位は堤防を越えた(Matt Rourke/AP通信)
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