◎8月30日午後の時点で確認された死亡者は南部ルイジアナ州で3人、ミシシッピ州で4人、その他の州では確認されていない。
2021年8月30日/ルイジアナ州ラフィット、地区全体が浸水した(David J. Phillip/AP通信)

米主要メディアによると、「ハリケーンアイダ」の強風と大雨で最も深刻な被害を受けた南部ルイジアナ州では100万世帯以上が停電し、復旧には少なくとも数週間かかる見込みだという。

アイダはカテゴリー4の勢力で南部に上陸し、ルイジアナ州やミシシッピ州に強風と大雨をもたらした。ABCニュースによると、8月30日午後の時点で確認された死亡者はルイジアナ州で3人、ミシシッピ州で4人、その他の州では確認されていないという。

多くの住民が2005年8月に上陸したハリケーンカトリーナ(カテゴリー5)の教訓を活かして早めに避難または安全確保を終えていたと伝えられている。カトリーナの死亡者は1,800人以上、被害額は1,000億ドル以上(11兆円)にのぼった。

<ハリケーンのカテゴリー>
カテゴリー1:秒速 33~44(m/s)
カテゴリー2:秒速 43~49(m/s)
カテゴリー3:秒速 50~58(m/s)
カテゴリー4:秒速 58~70(m/s)※アイダ
カテゴリー5:秒速 70~(m/s)※カトリーナ

南部の送電線は強風や倒木の影響で深刻な被害を受け、多くの変電所が電力を失った。停電世帯数はルイジアナ州とミシシッピ州で100万世帯以上と推定されている。また通信網も深刻な被害を受けており、広い範囲で911緊急対応システムが利用できない状態になっている。

停電と洪水の影響で水処理プラントも被害を受け、多くの地域で断水が発生した。連邦当局によると、ルイジアナ州の17の地区で生活する約44万人が断水に直面し、別の地区の住民約32万人が水道水を利用時する際には一度沸騰させるよう勧告を受けたという。

ミシシッピ州リュースデールの高速道路では車道の一部が崩壊し、少なくとも車両7台が巻き込まれたと伝えられている。AP通信はこれまでに4人の死亡を確認し、死亡者数はさらに増える可能性があると報じた。

ルイジアナ州スライデルの消防当局は、ワニに襲われたと信じられている男性の捜索を行った。当局者によると、男性は妻がワニに襲われたかもしれないと言い、外に出たという。妻は無事だったが、男性の行方は分からなくなった。

野生生物局は31日、クマ、ワニ、ヘビ、その他の野生動物がアイダの影響で食料を失い、人間の生活するエリアに入ってくる可能性があると警告した。

ルイジアナ州の一部地域には高温に関する警報が出ている。国立気象局の当局者は停電の影響でエアコンが使えないため、特に高齢者、乳児、その他の脆弱な人々は適宜水分補給を行い、熱中症に警戒するよう呼びかけた。

一方、ルイジアナ州の医療機関はコロナウイルス患者の急増で危機に瀕しており、今回の物的被害、断水、停電は医療関係者にかかる圧力を倍増させた。

ルイジアナ州保健局はABCニュースの取材に対し、「少なくとも11の病院が事前避難を実施し、一部の総合病院は避難活動は継続している」と語った。

またAP通信によると、少なくとも39の医療機関で停電が発生したという。連邦緊急事態管理庁(FEMA)は声明で、停電した医療機関は自家発電で運営を続けていると述べた。

被災地以外の15の州から召集された約900人の消防当局者は捜索と避難活動を支援した。州兵約5,000人も現地入りしている。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は31日、FEMAの職員3,600人以上がルイジアナ州、ミシシッピ州、アラバマ州、フロリダ州、ジョージア州、テキサス州に派遣され、被災地の食事や飲料水の支援にあたっていると述べた。

熱帯低気圧になったアイダは南部地域から北東に進み、多くの地域に大雨をもたらしている。国立気象局は17の州に洪水警報を出し、対象地域の住民約8,000万人に警戒を呼びかけた。

2021年8月30日/ルイジアナ州クレーマーの住宅街(アーロンE.マルティネス/USATODAY/ABCニュース)
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