◎気候活動家のグレタ・トゥーンベリ氏はまもなく開幕するCOP26に先立ち、世界中の銀行に環境を破壊する事業への融資をやめるよう呼びかけた。
2021年10月29日/イギリス、ロンドンで開催された化石燃料事業への投資に反対する抗議デモ、グレタ・トゥーンベリ氏(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

10月29日、気候活動家のグレタ・トゥーンベリ氏はまもなく開幕するCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)に先立ち、世界中の銀行に環境を破壊する事業への融資をやめるよう呼びかけた。

ロンドンで29日に行われた化石燃料事業への融資に反対する抗議デモには数百人が参加したと伝えられている。ニューヨーク、サンフランシスコ、ナイロビの金融街などでも同様のデモが開催された。

デモの参加者は、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を使用する企業や事業に資金を提供しないよう銀行に呼びかけた。

トゥーンベリは英BBCニュースのインタビューの中で、「政治家への圧力を維持すれば、COP26は世界の軌道を修正できると思う」と述べた。

またトゥーンベリ氏は、COP26から公式の出席依頼は受けていないと明らかにした。

10月31日に開幕するグラスゴーCOP26は温室効果ガスの純排出ゼロと地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温プラス1.5℃に維持することを目標としており、参加する40カ国以上により野心的な気候変動対策を実行するよう促す。

<COP26の主要原則
・温室効果ガス純排出ゼロに向けた持続可能な復興の推進

・野心的で実行可能な気候変動対策(ロードマップ)の策定

・情報共有によるトランジションの促進

・温室効果ガス純排出ゼロ達成に向けた各産業ごとの脱炭素化とイノベーションの加速

・官民による投資促進

・人々を中心とするトランジションの支援

・新たなエネルギーシステムにおけるエネルギー安全保障の確立

トゥーンベリ氏はBBCに、「サミット中にグラスゴーで行われる抗議デモに参加する」と述べ、サミットで講演するかどうかは分からないと述べた。

またトゥーンベリ氏は、国連の公式活動「Youth4Climate」の参加者と一緒にCOP26の場で若者の声を公式に届けたいと思っていたと述べた。

Youth4Climateは9月にイタリアのミラノでユース気候サミットを開催し、180ヵ国の気候活動家約400人が参加した。トゥーンベリ氏はサミットの演説でジョー・バイデン米大統領を含む世界の首脳を批判した。

トゥーンベリ氏は、気候変動の影響を最も強く受けている貧しい国々はCOP26でより大きな存在感を示すべきだと述べ、主要国が温室効果ガスの排出量を劇的に抑える野心的かつ実現可能な目標を設定しなければ、交渉は成立しないだろうと警告した。

一方、気候変動問題の主要プレーヤーと見なされているバイデン大統領はサミットに先立ち、フランスでエマニュエル・マクロン大統領と会談した。

バイデン大統領が推し進めている1.75兆ドル(約200兆円)のヒューマンインフラストラクチャ法案は、気候変動対策に5,000億ドル以上を割り当てる予定である。

バイデン大統領は28日の記者会見でこの法案を歴史的なものと表現したが、トゥーンベリ氏は米国にさらなる行動を求めた。「世界で最も強力なリーダーには多くの責任があります。米国は化石燃料インフラを拡大しています。それは米国が気候変動を緊急事態として扱っていない証拠です」

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