◎被災地では1万人以上と連絡が取れず、犠牲者の数は数千人に達する恐れがある。
2023年9月11日/リビア、東部ベンガジ、洪水に見舞われた通り(Getty Images/AFP通信)

リビア東部で発生した大雨による大洪水により、3000人以上が死亡したとみられる。東部政府の報道官が12日、明らかにした。

この大雨は地中海周辺に大きな被害をもたらした低気圧「ダニエル」がもたらしたものであり、ギリシャ、トルコ、ブルガリアでは先週、少なくとも26人の死亡が確認されている。

国際赤十字社・赤新月社連盟のリビア特使によると、被災地では1万人以上と連絡が取れず、犠牲者の数は数千人に達する恐れがあるという。

東部政府の報道官は声明で、「最も大きな被害を受けたデルナだけで約700人の死亡が確認され、その数は劇的に増加するとみられる」と述べている。

デルナ郊外にある2つのダムが大雨で決壊し、麓の町に濁流が押し寄せたとみられ、市の4分の1が壊滅状態となり、水道・電気・インターネットも遮断された。

当局はデルナだけで1200人が負傷し、5000~6000人が行方不明と報告している。

ベンガジなどの都市も大きな被害を受け、死傷者が出ているようだ。

東部政府を支援する軍派閥トップの元国軍将校ハフタル(Khalifa Haftar)司令官は12日に放送されたテレビ演説で、「被災地で救援・救助活動が行われている」と説明した。

またハフタル氏は「我々は東部政府に対し、あらゆる能力を駆使して被災地に必要な医療を提供し、現場に医療輸送隊を派遣し、家を失った人々に避難所を提供するよう命じた」と述べた。

さらにハフタル氏は東部政府に▽被害状況を評価する検証委員会の設置▽交通を円滑にするための道路再建▽電力を含む生活に欠かせないインフラの復旧に必要な措置を可及的速やかに取るよう命じた。

一方、首都トリポリの在リビア・米国大使館は12日、被災地に必要な支援を提供する取り組みを開始すると発表した。

同大使館は「国連や関係機関と連絡を密に取り、どこにどのような支援が必要か見極めたうえでワシントンD.C.の承認を取り、予算を確保する」としている。

2011年のカダフィ(Muammar Gaddafi)大佐討伐後、国連の支援を受けることとなった西部政府のドベイバ(Abdul Hamid Dbeibah)首相は2021年後半に予定されていた国政選挙を実施できず、国際社会を失望させた。

政治的な行き詰まりと争いは2つの政府を生み出し、混乱が収束する見通しは全く立っていない。

ドベイバ政権と対立する東部政府を率いるバシャガ(Fathy Bashagha)首相は港町シルトに拠点を置き、2021年3月頃から権力闘争を続けている。

東部地域のインフラはほとんど整備されておらず、今回の洪水に全く対応できなかったとみられる。

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