◎気候変動はウクライナ侵攻や世界経済の減速と並んで、アフリカのGDP成長率を減速させる主な要因のひとつになっている。
2021年7月15日/ケニア中部のダム湖(Cheboite Kigen/NMG/Getty Images)

国連は15日、気候変動がアフリカ諸国の経済に壊滅的な影響を与えていると報告した。

国連アフリカ経済委員会(UNECA)は15日に公表したレポートで、「アフリカ諸国は気候変動がもたらす強力なサイクロン、洪水、容赦ない干ばつなど、異常気象への対応に年度予算の最大9%を費やしている」と指摘した。

UNECAはエチオピアの首都アディスアベバで開催されたアフリカの財務・経済担当大臣の年次総会で調査結果を公表し、国際社会に対応を迫った。

UNECAのペドロ(Antonio Pedro)事務局長はAP通信の取材に対し、「温暖化はアフリカ経済に壊滅的な影響を及ぼしており、状況は今後数年で悪化することが予想される」と語った。

レポートによると、気候変動はウクライナ侵攻や世界経済の減速と並んで、アフリカのGDP成長率を減速させる主な要因のひとつになっているという。

今年の年次総会はアフリカ南部で大規模な水害が発生している中、開催された。

マラウイとモザンビークに再上陸したサイクロン・フレディは広い範囲に大雨をもたらし、両国の死者は220人を超え、10万人以上が避難を余儀なくされ、多くのインフラや民家が破壊された。

アフリカ東部ケニア、エチオピア、ソマリアの一部地域では未曽有の干ばつが続いている。

アフリカ大陸の人口は世界全体の17%を占めているものの、温室効果ガスの排出量は世界全体の4%に満たない。

多くの国が気候変動対策に苦慮している。国連の専門家パネルはアフリカ大陸の温室効果ガスを「ある程度」抑制するためには2030年までに3兆ドル以上の投資が必要と試算している。

UNECAはレポートの中で、「気候変動はアフリカ経済に多大な影響を及ぼし、気候変動対策を実行するためには国際社会の支援が必要不可欠である」と述べている。

またUNECAは「気候変動関連の国際基金は貧困や不平等を解消する取り組みにも役立つ」とした。

西側の豊かな国はアフリカの気候変動対策に年間1000億ドルを拠出すると約束しているが、まだ一度も達成できていない。

ペドロ氏はアフリカ諸国の企業や政府に対し、排出量を相殺するために、森林再生を行う際に利用できる炭素クレジットを積極的に調達するよう呼びかけました。

「熱帯雨林を活用し炭素市場を発展させれば、アフリカ大陸全体で数百万人の新規雇用と年間820億ドルの価値を生み出すことができます...」

2023年3月9日/モザンビーク西部の集落(EPA通信/Getty Images)
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