◎中国共産党は現在、1,058基の石炭火力発電所を運用している。
中国の石炭火力発電所(ゲッティイメージズ)

気候シンクタンク、トランジション・ゼロ(TransitionZero)の報告によると、中国は石炭火力発電所を再生可能エネルギーに切り替えることで、20年間で最大1.6兆ドル(約170兆円)節約できるという。

著者たちは、中国は気候変動対策の公約を満たすために10年以内に少なくとも588基の石炭火力発電所を閉鎖しなければならないと述べ、石炭を再生可能エネルギーに切り替えることで多くの現金を節約できると主張した。

これは、再生可能エネルギーの発電コストが石炭火力よりはるかに安価になっているためである。

中国共産党は現在、1,058基の石炭火力発電所を運用している。これは世界の運用基数の半分以上を占める。

トランジション・ゼロは報告書の中で、「中国は目標としている2060年までのカーボンニュートラルを達成するためには、今すぐ急進的な行動を開始しなければならない」と述べている。

共産党指導部は先日、温室効果ガスの排出量を減らし、クリーンな電力を供給するために原子力発電所を5基新設すると発表した。また、習近平 国家主席はフランスとドイツで開催される気候サミットに参加する意向を示している。

中国は世界一の石炭火力保有国だが、風力と太陽光発電の建設数および稼働数でも世界一を独走している。

しかし、各地域の長は過去1年の間に経済成長目標のクリアを目指し、新しい石炭火力発電所を建設してきた。

トランジション・ゼロは、中国の第14次5カ年計画の新しい石炭火力資産(まだ稼働していない発電所)が温室効果ガスの排出と中国経済に大きな影響を与える可能性があると警告した。

一方、西側諸国は中国が「毎月」公開している国の二酸化炭素排出量データに疑念を抱いている。アメリカとEUは発電所単位で「毎日」二酸化炭素の排出量を公開している。トランジション・ゼロは、「温室効果ガスの排出量と気候変動目標を管理するためには、正確な数値を把握しなければならない」と述べた。

トランジション・ゼロの著者のひとり、マット・グレイ氏は報告書の中で次のように述べている。「各国は排出量に関する信頼できるデータを公開しなければなりません。私たちの分析によると、中国は石炭火力発電所を再生可能エネルギーに置き換えることで、現金を節約し、無駄な資産を減らし、国際的な評判を向上させることができます」

トランジション・ゼロのスポンサーのひとりであるアル・ゴア元米副大統領は、「石炭から再生可能エネルギーへの移行によってもたらされる効果は、気候変動と経済成長が密接に関連していることを示しています」と述べた。

グローバル・エナジー・モニター(Global Energy Monitor)が公表した調査報告書によると、過去1年間で中国が建設した石炭火力発電所の設備容量は世界の他の地域で廃止された石炭火力を上回っているという。

報告書によると、中国は2020年に38.4GWの石炭火力発電所を完成させた。これに対し、世界で廃止された石炭火力は37.8GWだったという。

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