◎ブラジルの森林破壊は2019年にボルソナロ大統領が就任して以来、増加の一途をたどっている。
ブラジルの熱帯雨林(Getty Images)

ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)は7日、同国の9月の熱帯雨林伐採面積が過去最高を更新したと発表した。

INPEの衛星データによると、9月の伐採面積は1455㎢に達し、前年同月から48%増加。2019年の記録を更新したという。

ブラジルの森林破壊は2019年にボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領が就任して以来、増加の一途をたどっている。

ブラジルの環境保護団体や活動家は記録更新を嘆き、「熱帯雨林の未来、先住民の生活、地球温暖化がもたらす壊滅的な影響に懸念を抱く人はダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)元大統領に投票しなければならない」と呼びかけている。

大統領選の決選投票は10月30日に行われる予定だ。

ダシルバ氏はアマゾンの保護に力を入れると公約に掲げる一方、ボルソナロ氏はアマゾンの天然資源を活かしてブラジル経済を活性化させるとしている。

多くの専門家が、二酸化炭素の削減に欠かせないアマゾンの将来が今回の選挙にかかっていると指摘している。世界のアマゾンの約6割はブラジルにある。

アグリビジネスを推進するボルソナロ氏は伐採業者を監督し、天然資源の採掘に力を入れ、ブラジル経済をある程度活性化させてきた。

ボルソナロ氏が就任した2019年のアマゾン破壊面積(山火事含む)は9178㎢に達した。

INPEによると、今年の破壊面積は9月末の時点で8590㎢に達し、年間記録を更新する可能性が高いという。

司法省は違法伐採や焼き畑を積極的に取り締まっていると報告しているが、多くのアグリビジネス業者が農地や放牧地を確保するために樹を切り、火災も多発している。

アマゾンの年間火災発生件数は先月、5年ぶりに記録を更新した。

シンクタンク「イガラペ研究所(Igarapé Institute)」が7月に公表した報告書によると、政府はアマゾンの森林破壊を抑えるための措置をほとんど講じていないという。

同研究所は2016~2021年の間にアマゾンで連邦警察が担当した環境犯罪捜査302件を分析している。その結果、未指定の公有地を伐採したにもかかわず、罪に問われたケースは2%にとどまったという。

先住民族や環境保護団体への暴力も社会問題になっている。

しかし、ボルソナロ氏はアマゾン開発を擁護し、「環境保護と持続可能な経済成長のバランスをとることが重要だ」としている。

2021年12月12日/ブラジル、首都ブラジリアの大統領宮殿前、ボルソナロ大統領(Eraldo Peres/AP通信)
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