◎ジョー・バイデン氏は、カナダとアメリカを結ぶキーストーンXLパイプラインの建設を就任初日にキャンセルする予定である。(大統領令)
◎カナダのジャスティン・トルドー首相は記者団に対し、「カナダ人はバイデン氏とカマラ・ハリス氏の罵倒を厳しく監視するだろう。両国間の関係は新しい章に突入する」と警戒感を示した。
ロイター通信/キーストーンXLパイプラインの工事現場

1月19日、カナダのジャスティン・トルドー首相は、物議を醸してきた原油パイプライン計画について、ジョー・バイデン氏のチームと定期的に連絡を取っていると述べた。

バイデン氏はカナダとアメリカを結ぶキーストーンXLパイプラインの建設を就任初日にキャンセルすると述べている。

トルドー首相は「当局者にキーストーンXLの話し合いを進めるよう指示した」と述べた。

ジャスティン・トルドー首相:
私たちはこのプロジェクトを支持するとバイデン政権の高官に伝えた。私は今後数日以内にバイデン大統領と話すだろう。会談をとても楽しみにしている」

現在建設が進められているキーストーンXLの全長は約2,750km。1日あたりの輸送量は約800,000バレル。カナダのアルバータ州から米モンタナ州、サウスダコタ州、ネブラスカ州、カンザス州、オクラホマ州を経由して南部テキサス州まで原油を輸送する予定である。

環境保護団体とネイティブアメリカンのグループは、10年以上に渡ってこのプロジェクトと戦ってきた。

バラク・オバマ前大統領はプロジェクトを拒否したが、トランプ大統領は計画を復活させ、工事の速やかな着工を指示した。

トルドー首相は昨年11月にバイデン氏と話した際、キーストーンXLの建設を最優先事項として取り上げていた。バイデン氏のチームがこれを就任初日にキャンセルすると発表したため、新たな衝突が発生すると予想されている。

トルドー首相は新たなパイプラインを求める「エネルギー業界の要望」と「環境保護団体の懸念」とのバランスを取るために、アルバータ州から西岸への別のパイプライン計画をキャンセルしている。

トルドー首相は記者団に対し、「カナダ人はバイデン氏とカマラ・ハリス氏の罵倒を厳しく監視するだろう。両国間の関係は新しい章に突入する」と警戒感を示した。

2021年1月16日 AP通信/デラウェア州ウィルミントン、ジョー・バイデン氏

バイデン氏は1月20日にキーストーンXLの建設許可の取り消しおよび、パリ協定復帰の大統領令に署名する予定である。

バイデン氏は気候変動との戦いを政権の最優先事項のひとつに掲げている。

アルバータ州のジェイソン・ケニー州知事は大統領令について、「深く懸念しており、キャンセルされた場合、法的措置を検討する」と述べた。

パイプラインはアルバータ州のオイルサンドから抽出された原油、砂、水、粘土およびビチューメンと呼ばれる混合物を輸送する。

グリーンピースなどの環境保護団体は、「オイルサンドから原油1バレルを抽出する際に発生する温室効果ガスの量は、従来の精製サイクルより約30%多くなる可能性がある」と主張し、計画に強く反対してきた。

しかし、カナダ政府は、新しい技術がより高効率のエネルギーを生み出し、温室効果ガスの削減につながると意見を却下している。

アルバータ州の先住民族はオイルサンド開発が土地を破壊したと主張し、連邦政府および州政府を訴えている。

カナダ政府はプロジェクトを進めるための交渉や準備作業に何年も費やしてきた。原油をアメリカに届けることはカナダのエネルギー産業の将来にとって極めて重要なことと考えられている。

一方、バイデン政権のスタッフはプロジェクトのキャンセルについて、「当然のこと。私たちはトランプの承認を切り裂くだろう」と述べた。

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