経営再編計画

イギリスを代表する電気機器メーカー、ダイソン(Dyson Limited)は、コロナウイルスの影響から脱却すべく経営再編計画を加速させている。

7月23日、ダイソンはイギリスで600人、その他で300人、計900人の雇用を削減すると発表した。なお、同社の従業員は約14,000人、本社を置いていたイギリスでは約4,000人が働いている。

バックレス掃除機の発明で現在の地位を確立したダイソンは、パンデミックの影響で人々がオンラインショッピングに移行した結果、小売およびカスタマーサービス部門がダメージを受けていると述べた。

同社はジョン・ルイスなどの百貨店で商品を販売しているが、コロナウイルスの影響で世界市場が急速にオンラインショッピング化し、小売部門の役割が大きく減少、リストラを決断した。

同社のスポークスマンは記者団に対し、「世界80か国で展開している海外事業でも小売り関連部門の縮小が決まっており、従業員の一部は仕事を失う、もしくは配置転換されることになる。コロナショックは消費者の行動を急速に変化させた。顧客は私たちの商品販売方法、カスタマーサービスに変化を求めている。これからしばらく続くと思われる世界恐慌レベルの不況を少しでも回避し、従業員とその家族を守っていかなければならない」と語った。

スポークスマンは、「公的資金の注入を依頼することはあり得ない。また、ロックダウンの影響で失われた顧客とのつながりは、オンラインでも維持できる。さらに、商品のカスタマーサービス、その他のアフターフォローは今後も変わらず継承されるだろう」と付け加えた。

コロナウイルスは吸引できません

ダイソン社の製品の大半は現在もイギリスで設計されており、イングランド南西部ウィルトシャーに2つのテクノロジーキャンパスを持っている。なお、製品はアジア工場で製造、主力拠点(本社)はシンガポール

今年の初め、同社はパンデミックが世界中に広まり、医師および医療機関が患者に圧倒されることを防ぐべく、NHS向け医療用人工呼吸器製造に緊急着手した。

2020年3月、イギリス政府はダイソン社に約10,000台の人工呼吸器を注文。その後、主力医療機器メーカーが増産体制に入ったことで、この契約は無効となり、同社は従来の業務に戻った。

世界のありとあらゆる市場が秒単位で変化する中、創業者のジェームズ・ダイソン卿は電気自動車産業への進出を決断した。

昨年、ジェームズ卿は記者団に対し、「素晴らしい電気自動車を開発したが、商業的に実行可能なレベルにはまだ達していない。販売するにはもう少し時間がかかるだろう」と述べた。

ブレグジットを支持するジェームズ卿は、1993年に新型掃除機DC01を開発、イギリス屈指の実業家として知られ、2019年時点の総資産は126億ポンド(約1兆7,000億円)を超える。

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