直接投票と郵送投票

米大統領選の不在者投票方法は、投票所で直接投票箱に票を入れる「直接投票」と「郵送投票」の2種類である。

9月4日、米大統領選挙の不在者投票が正式に始まった

ノースカロライナ州の選挙当局者は、郵送投票を要求した約60万人に用紙を送付したと述べた。

同州が郵送投票を開始した理由は、投票方法のあるべき姿がコロナウイルスの影響で変化したためだ。なお、トランプ大統領はその安全性に疑問を呈している。

しかし、アメリカの最高権力者が懸念しているにも関わらず、郵送投票の準備は着々と進み、機能し、そして需要が高い。

当局は、郵送投票への完全移行を決めていないいくつかの州内で、それを望む事前申請(所定の手続きを踏めば、誰でも郵送投票を選択できる)が急増していると述べた。

早期投票と郵送投票が投票率増加につながる

9月4日:ノースカロライナ州

ノースカロライナ州は、「郵送投票をリクエストした有権者」に専用の投票用紙を送付。米大統領選2020の開始を宣言した。

6月、法的および政治的圧力により、同州議会は郵送投票に以下の変更を加えた。
①有権者は電子メールまたはFAXで郵送投票用紙をリクエストできる
②有権者は投票用紙の行方を追跡できる(投票追跡システムの採用)
③有権者が投票前に投票用紙の問題を発見、通知すれば、新たな用紙を入手できる。ただし、その時点で最初の投票用紙は効力を失う

同州の選挙当局者によると、今年の郵送投票要求数は現時点で2016年の21倍に達したという。

フロリダ大学政治学教授のマイケル・マクドナルド氏が米国選挙プロジェクトでまとめたデータによると、これまでのところ、ノースカロライナ州の591,379人の有権者が郵送投票を選択したことが分かった。なお、2016年は28,000人弱である。

9月14日:ペンシルベニア州とケンタッキー州

ペンシルべニア州とケンタッキー州は、9月14日から不在者投票用紙の送付を開始する。

有権者は当局に不在者投票をリクエストすることで、専用の投票用紙を入手できる。

ペンシルベニア州は郵送投票に対処する新たな選挙規則を制定していない。最近、民主党のトム・ウルフ州知事は、選挙関連の問題を大至急解決するよう州議会に呼びかけた。

トム・ウルフ州知事の改善要求:
①選挙管理者は投票日(11月3日)の3週間前から郵送された票の処理を開始できる
②有権者に対し、投票日の4週間前までに必ず郵送投票を終えるよう要求する
③投票所での直接投票を早急に開始する(現在の規則であれば、投票日の5日前にオープン

ペンシルベニア州の共和党員は州知事の要請を却下。さらに、11月3日の「3日前」から郵送されてきた投票用紙を処理できる、と定めた法案を提出した。同法案は現在上院で審議されている。

ペンシルベニア州では、8月3日の時点で180万人以上の有権者が不在者投票を要求していた。これらの要求のうち、70.2%は民主党登録有権者、28.9%が共和党登録有権者である。

ケンタッキー州では民主党州知事と共和党の州務長官が2020年選挙における規則に合意。投票率が2倍以上に増加すると予想されている。なお、不在者投票(主に郵送投票)の処理に対処すべく、規則を厳格化した。

ケンタッキーの登録有権者は3,497,941人。このうち郵送投票をリクエストした民主党登録有権者は161,148人、共和党登録有権者は48,998人である。

カリフォルニア州の郵送投票方法

9月15日:ジョージア州

ジョージア州は、9月15日から不在者投票用紙の送付を開始する。

同州のブラッド・ラフェンスペルガー州務長官は、「全ての登録有権者に郵送投票用紙を送付する」という新しい選挙の在り方を却下し、これまで通りの事前リクエスト方式に固執した。が、投票の合理化はしっかり図ったようである。

同州は郵送投票リクエストオンラインポータルを制作、8月31日にオープンした。ラフェンスペルガー州務長官の広報担当者によると、有権者からの反応は上々で、申請完了まで1分かからなかったという。

申請を終えた有権者には電子メールが届く。あとは郵送投票用紙の到着を待つのみである。

郡の選挙当局者は、郵送投票欠席(棄権)用ドロップボックスを設置したと発表した。

現在のジョージア州の選挙規則であれば、10月19日から不在者投票の処理を開始できるが、集計はできない。選挙当局のマネジャーは、「集計は機械で行うため、期間に問題はないと考えている」と語った。

ラフェンスペルガー州務長官のオフィスは、州内の全投票所に技術者を配置し、問題を迅速に解決するとコメントしている。

9月2日、ジョージア州の裁判所は、選挙日当日またはそれ以前に消印され、「11月3日から3日後以内に受領した郵送投票用紙は有効」とする判決を下した。

ジョージア州は、投票日の3週間前から専用の不在者投票所をオープンし、直接投票できるようになる。なお、NBAアトランタホークスの本拠地であるステーファームアリーナも不在者投票所として機能するため、有権者は小さな投票所で大行列に巻き込まれずに済む可能性が高い。

ジョージア州で郵送投票をリクエストした有権者は80万人を突破。現在も1日10,000件ずつ増加しているという。なお、同州の登録有権者数は7,002,328人である。

9月17日:ウィスコンシン州

ウィスコンシン州は、9月17日から不在者投票用紙の送付を開始する。

同州の選挙当局は、全登録有権者(約270万人)に不在者投票を郵送する。ただし、直接投票を要求している者、前回の投票から住所が変わり、変更手続きを行っていない者には届かない。

つまり、全登録有権者には、不在者投票用紙が届く前に「投票方法の選択および登録情報チェック表」が送付されるため、必要事項を記載し返送しなければならない。

郵送投票を行う者は、投票用紙に専用のバーコードをとりつけ、現在地を追跡できる。

ウィスコンシン州では、多くの有権者が投票の選択を求め行動した。結果、全有権者への不在者投票用紙送付が実現したのである。

同州の選挙管理委員会によると、コロナウイルスが発生する以前の郵送投票率は10%未満だったという。

現在、同州の登録有権者3,476,347人のうち、935,878人が投票方法の選択および登録情報チェック表で郵送投票をリクエストしている。

9月18日:ミネソタ州

ミネソタ州は、9月18日から不在者投票所をオープン。直接投票受付を開始する。

同州は、2014年から事前リクエストなしで不在者投票(直接投票のみ)を行えるようにした。なお、郵送投票については、10月13日までにリクエストしなければならない。

同州の郵送投票返送料は無料である。また、票を投函する専用ボックスおよび、棄権する場合の専用回収ボックスも設置される。

州務長官によると、9月1日時点の登録有権者数は3,460,663人。8月28日までに、754,652人が郵送投票をリクエストしたという。

先月の民主党予備選挙では、登録有権者の60%が郵送投票を利用している。

同州の過去の棄権率は約24%にとどまっており、今年も投票率60%~70%は固いと思われる。また、現時点で前回の郵送投票リクエスト数を上回っており、さらなる上積みが期待されている。

サウスダコタ州も9月18日から直接投票を開始。ウェストバージニア州とアーカンソー州は、同日から登録有権者への不在者用紙送付を開始。オハイオ州も軍および海外の登録有権者に向け、それを送付する。

トランプ大統領は有権者に2回投票するよう指示

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