8月25日、共和党全国大会2日目は、初日より希望に満ちた形で締めくくられた

この日、イベントを最も盛り上げたのは、トランプ司令官の「愛に溢れた優しいスピーチ」ではなく、全世界に現職大統領の魅力を伝えたファーストメディ、メラニア夫人だった。

公務中のホワイトハウスの壇上に立ったメラニア夫人は、「ドナルドと私は、家族を養い、安全を保つというシンプルでありながら勇気ある目標を持って毎日を過ごし、何百万人ものアメリカ国民から刺激を受けている」と語った。

さらに、「アメリカのバックボーンは国民の皆さんである。あなた自身がアメリカ合衆国を作り上げた」と付け加え、公務中のホワイトハウスおよびその周辺の盛り上がりは最高潮に達した。

なお、トランプ大統領および一部の連邦職員は公務中であるにも関わらず、ワイフのスピーチを草葉の陰から見守っていた。

しかし、ワイフのスピーチが順調であったにも関わらず、トランプ大統領は何度も枠内に姿を現した。

どうしても枠内に収まりたい指揮官の姿を見た国民の多くが、アメリカの今に頭を抱えたと思われる。

アメリカを混沌に導いたトランプ・ショーから4年。8月25日の「ホワイトハウスからこんばんは」は、初日よりいろんな意味で盛り上がった。

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メラニア夫人

メラニア夫人が行った2016年のスピーチは、バラク・オバマ前大統領の妻、ミシェル夫人の「パクリ」と厳しく非難された。

しかし、今回のスピーチは一味違ったようである。指揮官のワイフは、想像以上に多くのものをアメリカ国民に与えてくれた。

テレビの枠内に収まったメラニア夫人は、新しく改装されたローズガーデンをバックに、「ファーストレディとして、私はアメリカの夢が何度も何度も何度も実現する瞬間に立ち会った。私が2016年から経験したこれらの幸運を全て説明することは到底できない」と述べた。

この日の主役は指揮官ではなく、ワイフだった。彼女は夫である共和党候補者が再選すべき理由に焦点を当てなければならなかった。しかし、この日のファーストレディは控えめに言って、失敗した。

「偽のメディア情報や反対派は、本当のドナルド・トランプに焦点を合わせていない。彼はアメリカが大好きで、物事を成し遂げる方法を知っている」

「私はこの貴重な時間を反対勢力への攻撃に費やしたくない。先週、我々は一方的に(民主党から)攻撃を受け、国家が分断される瞬間を見た。夫は大統領という厳しい職務を務めあげ、さらにあと4年同じ立場を保持する。夫はアメリカにとって必要不可欠な存在であり、国民を正しい道に導くだろう」とメラニア夫人は高らかに宣言した。

また、人種的不平等を巡る抗議騒動に対しては、過去から学ぶように促した。これに関しては、しばしば人種差別ツイートをするトランプ大統領とは異なるアプローチだった。

メラニア夫人はアメリカ中の女性にしつこく呼びかけ、あと4年間トランプ大統領を支持するよう求めた。

メラニア夫人のスピーチ

ポンペオ国務長官

マイク・ポンペオ国務長官は、イスラエルで演説を収録していた。

開口一番、「私は美しいエルサレムの旧市街を見渡しながら、スピーチしている」と述べた。

さらに、「私はスーザンの夫、息子のニックの父親として、大きな仕事を行っている。トランプ大統領が目指す”アメリカ・ファースト”のビジョンは現実になり、私たちは安全と自由、そして多くの外資を手に入れた」と付け加えた。

公式海外旅行中のポンペオ国務長官のスピーチは、彼の公式ポストと個人的な立場との境界線を曖昧にした。

国務長官はアメリカの外交問題を取り仕切るボスである。そのポストについている者は、「党派のイベントに参加してはならない」という不文律がある。

国務長官の秘書も同様である。彼らは仕事の性質上、党派の色に染まっていると見られてはいけない。なお、歴代の国務長官秘書が党大会に出席したことはない。

2日目のイベントが開催される前、共和党全国大会の関係者はABCの取材に対し、「ポンペオ氏の個人弁護士、各州および共和党全国大会の弁護士たちは、外交部門のトップに関連する不文律を精査し、発言を審査および承認したうえで、合法かつ適切であることを確認した」と述べた。

また関係者は、「ポンペオ氏の撮影や演出に税金は一切使われていない。関連する費用は、すべて共和党全国大会が負担している」と付け加えた。

しかし、ポンペオ国務長官がとった行動には気になる点がたくさんあり、帰国後、多くの問題に直面すると思われる。

下院外交委員会のホアキン・カストロ下院議員率いる下院民主党は、イスラエル旅行中のポンペオ国務長官に関する調査を開始した。

注視すべき点は、「ポンペオ氏のスタッフが、スピーチの準備等に関与していなかったか」。そして、「ポンペオ氏のスピーチ撮影が公務に影響を与えなかった」である。

ポンペオ国務長官とエルサレム

その他の皆さん

大統領の末っ子であるティファニー・トランプ氏は、父親が新しいアメリカを設立し、「挑戦から逃げ出さない唯一の大統領である」と宣言した。

トランプファミリーの執行役員副社長を務めるエリック・トランプ氏は妹のスピーチに反響し、「私の父は、アメリカの偉大な政治家たちが現実を直視せず逃げていることを知っていたため、戦う決意をした」と語った。

ケンタッキー州上院議員のランド・ポール氏は、トランプ大統領と初めて遭遇した時、「プライベートジェットとヘリコプターを持っているにも関わらず、大統領は”普通の男”に見えたのでとても驚いた」と何が言いたいのか分からない発言をした。

また、ドーバー空軍基地で起こった出来事(アメリカ兵2名の遺体を帰国させた)について熱っぽく語った。

「私はその夜のことを忘れないだろう。トランプ大統領は亡くなった兵士の家族の痛みを感じ取り、中東の戦争を終わらせると約束した。そして、それは間もなく実現するだろう」

アイオワ州のキム・レイノルズ州知事は、数百万エーカーの作物と数千人の雇用を失ったトウモロコシの荒廃について話し、規制緩和がアイオワの農家を救ったと語った。

メイン州のロブスター漁師であるジェイソン・ジョイス氏は、2016年にトランプ大統領を支持しなかったと述べた。

しかし、先日、欧州との貿易協定でロブスターの関税が撤廃されたことに言及し、「大統領は約束を守った。私のような漁師は、皆、彼を支持する。彼は何かがおかしいと思った時、それを迷わず修正し、恐れない。トランプ大統領以上に労働者を大切にする男はいない」と付け加えた。

ティファニー・トランプ女史

黒人有権者

ケンタッキー州司法長官を務めるアフリカ系アメリカ人のダニエル・キャメロン氏は、黒人有権者が民主党を支持しているという安易な考えに反対した。

「私は自由のために奮闘した祖先についてよく考える。黒人は黒人が支持する者に投票しなければ、仲間と認められない。ブラックコミュニティの思考に多様性はない、と言われても仕方がない。私は肌の色や評判だけで投票する者を選ばない」とキャメロン氏は述べた。

キャメロン氏は、26歳のブレオナ・テイラー氏がルイビルの警察官に射殺された事件の調査で批判の矢面に立っている。

ジョージ・フロイド氏のデモ活動に拍車をかけたテイラー氏の死は、全国規模の抗議に発展。キャメロン氏は、「いまだに逮捕・起訴すらされていない警察官を捕縛しろ」という圧力に直面している。

問題山積のキャメロン氏は続けた。

「ジョー・バイデンは、将来を見据えたリーダーではなく、後ろばかり振り向く思想家である。彼の計画に知恵はない。信用できない発言と聞くに堪えない不快なアイデアばかりだ。刑事司法改革の記録を審査してほしい。バイデンは何もできなかった。しかし、トランプ大統領は行動した」

ダニエル・キャメロン氏

アメリカ:機会の土地

共和党全国大会2日目のテーマ、「アメリカ:”機会”の土地」を最も具現化したのは政治家ではなくアメリカ国民だった。

トランプ大統領が持つ絶対的な力、「恩赦」を受けたジョン・ポンダー氏は、新たな人生をスタートさせた。

銀行強盗で逮捕され有罪判決を受けた重罪犯のポンダー氏は、23年の刑を免除され、人生を好転させるべく努力していると語った。

ポンダー氏は囚人のために活動する「HOPE」という非営利団体を設立した。しかし、囚人の多くが刑期を終えた後も重罪犯と見なされていると警告した

これに対しトランプ大統領は、「ジョンの言う通り、刑期を終えた囚人に希望を与えることはとても大切である。現在、HOPEは数千人の生活に変化をもたらしている。私たちは刑期を終えたアメリカ国民のために活動するあなたの献身を称える」と述べた。

中西部、ウィスコンシン州の酪農家であるクリス・ピーターソン氏は、「トランプ大統領が大恐慌から我々を救った」と主張した。

さらに、大統領が就任したことで空前の好景気が始まり、多くの酪農家に新たな希望をもたらしたと言及。「トランプ大統領は農業が複雑かつ様々なリスクに直面していることを理解している。そして、彼ほど農民と農業の重要性を認めている男はいない」と述べた。

ニューメキシコ州アルバカーキ出身の警察官、ライアン・ホレッツ氏は、勤務中にヘロインを注射しようとしていた妊娠中のホームレス、クリスタル氏に出会った時のことを話した。

ホレッツ氏は重度の薬物依存に苦しんでいたクリスタル氏に対し、「お腹の子供を養子にしたい」と提案したという。

「今日、私たちの美しい娘、ホープは2歳になった。クリスタルは約3年のリハビリに励んでいる最中である。アメリカには荒廃した人々を深く気遣い、精力的に解決策を模索する素晴らしい大統領がいる。トランプ大統領は我々のリーダーであり、あと4年任期を全うするだろう

機会のあるアメリカの土地

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