◎12月15日の新規陽性者数は過去最多を大きく更新する78,610件、過去24時間の死亡者は150人前後になる見込み。
2021年12月14日/イギリス、ロンドンのセント・トーマス病院入口付近、ブースターショット待ちの列(Getty Images/AFP通信)

12月15日、イギリスの保健相は新たなコロナ変異ウイルス「オミクロン株」の爆発的な感染拡大に深刻な懸念を表明し、ブースターショットの展開をさらに強化する必要があると述べた。

サジド・ジャビド保健相は議会で、「仮にオミクロン株の重症化リスクが他の変異株より低かったとしても、それは医療機関を圧倒する可能性が高い」と警告した。

保健当局によると、15日の新規陽性者数は過去最多を大きく更新する78,610件、過去24時間の死亡者は150人前後になると見込まれている。

議会は14日、屋内公共施設におけるマスク着用義務化と、一部施設を利用する際にワクチンパスポートの提示を求める規則を可決した。なお、ボリス・ジョンソン首相の保守党の党員約100人が反対に票を投じたものの、野党労働党の支援で規則は何とか可決された。

ジャヒド保健相は規則を「国家的使命」と呼び、できるだけ多くの人に早くブースターショットを届ける必要があると強調した。

国民保健サービス(NHS)は接種スピードを上げるために、ファイザーまたはモデルナのブースターを接種した後の経過観察(15分間)の省略を認めている。一部の医療関係者は経過観察が接種センターの混雑に拍車をかけていると不満を漏らしていた。

NHSが経過観察の省略で接種スピードを2倍以上に引き上げ、「1日100万回以上」という政府目標を達成すると誓った結果、ワクチン接種センターの外には長蛇の列ができた。

ドミニク・ラーブ副首相は14日、BBCニュースのインタビューの中で、「進行中の作戦は来週中には安定する」と語った。「ワクチン加速作戦の安定には数日かかると見込んでいます。私たちは目標を達成するために、すべての筋肉に負担をかけ続けます...」

ジョンソン首相は12日のテレビ演説で「オミクロンの津波がやってくる」と警告し、「ワクチンの壁で津波をはじき返す」と述べ、国民にブースターを速やかに接種するよう呼びかけていた。

ジョンソン首相の計画はイングランドだけでなくスコットランド、ウェールズ、北アイルランドにも適用され、2回目の接種から「3か月」以上経過した18歳以上の英国民はブースターを接種できるようになった。

またジョンソン首相は13日遅くの演説で、ショッピングセンター、スタジアム、競馬場に設置される予定のワクチン接種センターは数万人のボランティアを必要としていると訴えた。「私たちは助けを必要としています。ワクチン接種のプロ、医師、看護師、薬剤師、訓練生、役人はブースターを届けるために懸命に働いていますが、人手が足りません。命を救うために名乗り出てください」

イギリス全土の警戒アラートは先日、レベル4に引き上げられた。アラートは5段階に分類され、レベル3は「流行」、レベル4は「大規模な流行」、レベル5は「医療崩壊の危機」

英国保健安全局(HSE)は先日の声明で、「オミクロン株はデルタ株以上の勢いで拡散しており、対応を取らなければ今後数日以内に国内の全症例の半分以上がオミクロン株に置きかわる可能性がある」と警告していた。

一方、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は14日、「オミクロン株は前例のない速度で全世界に広がっている」と懸念を表明し、各国に必要な対応を取るよう強く促した。

テドロス事務局長は声明の中で、「オミクロン株の重症化リスクが低かったとしても、陽性者の数が膨大であれば、医療機関を圧倒する可能性がある」と警告した。

<ジョンソン首相のブースター計画(概要)>
・支援を必要とする地域のために軍の特別チームを編成する。(42チーム)

・追加のワクチン接種所とモバイルユニット(出張接種サービス)を全国に展開する。

・医療機関にワクチン接種要員(医療ボランティア)数千人を派遣する。ボランティアの教育は別途行う。

・スコットランド、ウェールズ、北アイルランドに必要な支援を提供する。

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