◎ロシアの1日あたりの死亡者数は7月中旬頃から700人台を2カ月以上維持し、9月末頃からゆっくりと上昇し始め、先日初めて1,000人を超えた。
2021年10月20日/ロシア、モスクワ郊外のノボオガリョボ邸、ウラジーミル・プーチン大統領(Alexei Druzhinin/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)

10月20日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は国内のコロナウイルス新規陽性者と死亡者が増加していることを受け、国民に今月後半から1週間仕事を休むよう命じた。

保健当局のまとめによると、過去24時間の死亡者数は過去最多を更新する1,028人に達したという。19日の新規陽性者は32,835件、直近1週間の平均症例は1日あたり約31,000件。

プーチン大統領は10月30日から翌週まで国内のほぼ全ての事業活動を停止するという議会の提案を支持すると述べた。また、医療がひっ迫しているいくつかの地域は休業期間を前倒しし、11月7日以降も休業を維持する可能性があると示唆した。

プーチン大統領は高官とのオンライン会議の中で、「私たちの使命は市民の生命と健康を守り、感染の影響を最小限に抑えることです」と述べ、事業活動の停止に向けた準備を進めるよう命じた。「まず、感染拡大の速度を落とし、医療システムにかかっている負荷を軽減させてください。医療機関には追加の予算を提供します...」

主要メディアによると、休業命令の対象はまだ明らかにされていないという。一部のメディアはパンデミックの初期に導入した制限に近いものになる可能性が高いと報じている。政府は昨年の制限導入時、生活に欠かせないインフラや食料品を扱う国営および民間企業の事業継続を許可した。

ロシアの1日あたりの死亡者数は7月中旬頃から700人台を2カ月以上維持し、9月末頃からゆっくりと上昇し始め、先日初めて1,000人を超えた。ワクチンの展開は順調に進んでおらず、接種を終えた人は10月15日時点で人口の約31%にとどまっている。

休業命令はオフィスや公共交通機関から市民を遠ざけ、感染拡大を抑えると期待されている。首都モスクワやその他の主要都市の商業施設、レストラン、カフェ、バー、劇場、ジムなどは現在も通常営業を続けている。

一方、主要メディアによると、休業命令は市民の休暇旅行を後押しした可能性があるという。AFP通信は、「多くの市民が黒海のリゾート地行きの航空便を予約した」と報じた。

政府のコロナ対策チームを率いるタチアナ・ゴリコワ副首相は20日の声明で、「休業命令はレストラン、劇場、その他の娯楽施設へのアクセスを制限することを意味する」と強調し、地方自治体は違反者を罰するだろうと述べた。

またゴリコワ副首相は、期間中の移動を控えるよう促したうえで、感染者の家族は自宅にとどまる必要があると強調した。

政府は影響を受ける企業への補償と低金利の融資の準備を進めていると伝えられている。

プーチン大統領は自分と家族の命を守るためにワクチンを接種するよう国民に強く呼びかけた。「選択肢は限られています。ワクチンを接種してください。なぜ感染がもたらす重大な結果を待つのですか?あなたとあなたの家族を守るために責任ある行動を取りなさい」

プーチン大統領は多くの国民が国産ワクチンの接種をためらっていると述べた。「ロシアには信頼できる効果的なワクチンがあります。スプートニクは重症化と死亡のリスクを激減させます...」

国営メディアはスプートニクVを含む国産ワクチンを称賛する一方、しばしば西側のワクチンを批判した。一部の専門家は、「多くの国民が国営メディアの西側ワクチン批判を信じた結果、スプートニクVを含むすべてのワクチンに対する不信感が高まった」と指摘している。

ゴリコワ副首相は最近死亡したコロナ患者の大半がワクチン未接種者だったと述べた。保健当局によると、国内の入院患者の約87%がワクチン未接種者で、一部の州では95%を超えているという。

感染の深刻な地域の医療機関は特定の医療サービスや手術を停止している。ドミトリー・ペスコフ報道官は20日の会見で、「状況は極めてひっ迫している」と述べ、危機に直面している地域のワクチン接種率は特に低かったと強調した。

国営メディアによると、感染の深刻な地域の大半は大規模なイベントを制限し、レストラン、劇場、その他の娯楽施設を利用する際のワクチン接種証明の提示を義務付けているという。一部の自治体は特定の公務員や60歳以上のワクチン接種を義務化した。

しかし、モスクワのナイトクラブ、カラオケ、バー、その他の娯楽施設には多くの若者が集まり、公共交通機関を利用する通勤者は集中治療室の占有率がほぼ100%に達したにもかかわらずマスクルールを無視し、コロナ禍以前の生活を続けている。

世界保健機関(WHO)ヨーロッパ支部のキャサリン・スモールウッド博士は、ロシア、ブルガリア、ルーマニアなどの東ヨーロッパ諸国のワクチン接種率が低迷していることに強い懸念を示した。「現在深刻な状況にある国の多くがワクチンの展開に失敗しています...」

ルーマニアの新規陽性者と死亡者は右肩上がりで増加している。19日の陽性者は過去最多の18,863件、死亡者も最多の574人。ルーマニアの人口は約1,900万人。ブルガリアの感染状況も確実に悪化している。

2021年10月12日/ロシア、首都モスクワ郊外のコムナルカにある医療機関( Alexander Zemlianichenko/AP通信)
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