◎11月9日の新規陽性者数は39,160件、死亡者数は過去最多を更新する1,211人だった。
2021年11月9日/ロシア、モスクワのカフェ(Pavel Golovkin/AP通信)

11月9日、ロシアのコロナウイルス死亡者数は再び過去最多を更新し、一部の医療専門家は昨日終了した全国一斉休業の効果に疑問を投げかけた。

保健当局によると、9日の新規陽性者数は39,160件、死亡者数は過去最多を更新する1,211人。直近1週間の陽性者は1日あたり約39,000件、死亡者は約1,170人で、休業期間中も陽性率と死亡率は高止まりし、一部の都市では上昇の兆しも見られるという。

ウラジーミル・プーチン大統領は先月末、国民に10月30日~11月7日まで仕事を休むよう命じ、感染状況の深刻な地域は早めに休暇を開始し、必要に応じて期間を延長するよう地方自治体に促していた。首都モスクワを含む主要都市の休業期間は7日に終了したが、一部の自治体は期間を延長している。

ただし、休業期間終了後もコロナ規則は維持される。公共施設、レストラン、映画館などを利用できる人はワクチン接種を終えた人、6カ月以内にコロナから回復したと証明できる人、72時間以内のPCR検査で陰性と診断された人に限られている。

国内の陽性率と死亡率は休業期間中も高い状態を維持した。しかし、ドミトリー・ペスコフ報道官は8日の記者会見で、「一斉休業が上手く機能したかどうかの判断には時間がかかる」と述べ、プーチン大統領の政策を擁護した。

ロシアは自国産コロナワクチン「スプートニクV」を世界で初めて承認したが、ワクチン接種率は伸び悩み、人口当たりの完全接種率は11月9日時点で約34%にとどまっている。少なくとも1回接種した人は約40%。

スプートニクVはロシアの科学技術力を象徴する世界初の人工衛星にちなんで名づけられ、2020年8月に承認された。これまでに約70ヵ国がこのワクチンの使用を許可しているが、世界保健機関(WHO)はまだ許可していない。

スプートニクVはファイザーやアストラゼネカとは違い、1回目と2回目で異なる成分のワクチンを接種する。製薬会社は製造プロセスが複雑な2回目のワクチンの製造に苦労しており、WHOの懸念と承認遅れにつながった。

一方、米国は11月8日にワクチン接種を終えた外国人旅行者の受け入れを再開したが、スプートニクVを接種した個人は対象から除外された。

<米国の新しい入国規則>
・米国と世界保健機関(WHO)が承認したコロナワクチン(ファイザー、モデルナ、アストラ、中国のシノバックなど)の接種を終えた外国人は、ワクチン接種証明、72時間以内の陰性チェック証明、連絡先情報を提出することで検疫なし入国を許可される。

・陸路での入国も航路と同じ。

・18歳未満はワクチン未接種でも入国可能。ただし、陰性チェックは必要。2歳未満は陰性チェックも不要。

・18歳以上のワクチン未接種者はこれまで同様、入国前に当局の審査を受ける必要がある。観光での入国は不可。

ロシアの累計感染者は880万件以上、累計死亡者はまもなく25万人を超える。過剰死亡者数を集計している団体によると、ロシアの累計死亡者数は過小報告されている可能性が高く、9月末までにコロナまたはコロナに関連する病で死亡した人は約46.2万人にのぼったという。

超過死亡率は特定の集団の死亡率が一時的に増加し、本来想定される死亡率を超過した割合のことで、伝染病、パンデミック、飢饉、戦争などによって引き起こされる。

<欧州のワクチン完全接種率 Our World in Data 11月9日時点>
ポルトガル 87%(全人口)
スペイン 80%
イタリア 72%
オランダ 69%
フランス 68%
イギリス 67%
ドイツ 67%
ハンガリー 60%
チェコ 57%
ラトビア 55%
クロアチア 44%
ルーマニア 37%
ロシア 34%
ブルガリア 25%
ウクライナ 18%
アルメニア 7%

米国 57%
日本 74%

2021年5月17日/インド、ハイデラバードの医療機関、ロシアのスプートニクVコロナワクチン(Mahesh Kumar/AP通信)
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