◎米ファイザー社は食品医薬品局(FDA)にコロナワクチンのブースターショット(3回目の投与)の緊急許可を求める予定だと明らかにした。
7月8日、米ファイザー社は食品医薬品局(FDA)にコロナワクチンのブースターショット(3回目の投与)の緊急許可を求める予定だと明らかにした。
同社の研究によると、2回目の接種から12カ月以内に3回目の接種を行うと免疫力が劇的に高まり、インドで最初に確認されたデルタ株などの変異種を防ぐ効果も期待できる可能性があるという。
ファイザーワクチンやその他のコロナワクチンは、世界中で急速に広がっているデルタ株などから被接種者を保護することがすでに明らかになっている。
しかし、抗体は時間の経過と共に減少することも明らかになっており、ファイザー社を含む各メーカーは3回目の接種が必要かどうか、いつ接種すればよいかなどの研究を進めている。
ファイザー社のミカエル・ドルステン博士はAP通信の取材に対し、「ブースター研究の初期データは、3回目の接種が非常に効果的であることを示している」と述べた。「3回目を接種した被接種者の抗体レベルは5倍から10倍に跳ね上がりました...」
またドルステン博士は、「ファイザーワクチンはデルタ株をよく中和する」というイギリスとイスラエルの研究データを引用し、「ブースター接種はデルタ株を含む変異種に対して効果を発揮する可能性がある」と述べた。
ドルステン博士の仮説によると、体内の抗体が低下するとデルタ株や従来種などに感染しやすくなり、さらに軽度の症状を引き起こす可能性が高まるという。
ドルステン博士はインタビューの中で、「ファイザー社は8月にFDAにブースターショットの緊急許可を求める予定」と述べた。
一方、ヴァンダービルト大学医療センターのワクチン専門家であるウィリアム・シャフナー博士は8日、「食品医薬品局(FDA)がファイザーワクチンのブースターを許可したとしても、3回目の接種を急ぐべきではない」と警告した。
シャフナー博士はAP通信の取材に対し、「コロナワクチンは人々を従来種と変異種から保護するように設計されている」と強調したうえで、「ブースターショットは1回目または2回目の接種を求めている人々をワクチンから遠ざけるだろう」と指摘した。
アメリカでは約1.7億人、世界では数十億人がまだワクチン接種を終えておらず、公衆衛生当局はブースターショットを許可するかどうかを慎重に検討するものと思われる。
ファイザー社の発表から数時間後、疾病予防管理センター(CDC)とFDAは共同声明で、「ワクチン接種を終えたアメリカ人はまだブースターを必要としない」と述べた。
CDCとFDAは声明の中で、「ブースターが必要かどうか、またいつ必要かどうかを科学に基づき厳密に研究している」と述べ、今はワクチンの接種率を上げることが重要だと示唆した。「ブースターショットは科学が必要だと判断した場合にのみ許可します...」
CDCのデータによると、アメリカで少なくとも1回ワクチンを接種した人は人口の約55%、接種を終えた人は約48%まで上昇したという。ただし、一部の接種率の低い地域ではデルタ株が急増しており、当局は警戒を強めている。
CDCのロシェル・ワレンスキー所長は先日の声明で、「高度に保護された地域とそうでない地域の二極化が進んでおり、デルタ株の急拡大を引き起こしている」と懸念を表明した。
アメリカ国内におけるデルタ株の割合は、数週間前までは新規症例の約4分の1ほどだったが、現在は50%を超えた。一部の地域では新規症例の80%以上がデルタ株に置きかわっている。
ワレンスキー所長は、「国内の症例数はここ数週間増加傾向にあり、入院率も上昇し始め、直近7日間の平均症例数は前週から約7%上昇した」と語った。ただし、死亡者数は減少し続けており、一部の専門家は、重症化しやすい65歳以上のワクチン接種が進んだ結果が反映されていると指摘した。
国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士は8日、「接種を終えた人は高度な保護を得られる」と述べ、あらためてワクチン接種の重要性を訴えた。「接種率を上げることが重要です。接種を終えた人はまだ人口の半分です...」