◎イスラエル当局は18日、パレスチナの接種プログラムのさらなる加速に向け、有効期限が迫っているファイザーワクチン約100万回分を提供し、その見返りとして、今年後半に納入されるファイザーワクチン100万回分をパレスチナから受け取ると述べていた。
2021年2月23日/パレスチナ、西岸の都市ラマラに設置されたワクチン接種センター近く(AP通信/Oded Balilty)

パレスチナ自治政府は18日、イスラエルとのファイザーワクチン交換協定を破棄したと発表した。イスラエルは協定に伴い、パレスチナに約100万回分のワクチンを提供する予定だった。

当局者は、イスラエルから提供されたワクチンの有効期限は短すぎると述べた。

イスラエル当局は18日、パレスチナの接種プログラムのさらなる加速に向け、有効期限が迫っているワクチン100万回分を提供すると発表した。パレスチナはその見返りとして、今年後半に納入されるファイザーワクチン100万回分をイスラエルに返す予定だった。

しかしパレスチナは、ヨルダン川西岸地区に最初に運び込まれたワクチンの有効期限をチェックし、期限が予想よりもはるかに短いことに気づいた。当局者は声明の中で、「提供されたワクチンを期限内に接種することはできず、協定を破棄した」と述べた。

イスラエル当局は提供するワクチンの有効期限を明らかにしていなかった。

ワファ通信社によると、パレスチナ自治政府のイブラヒム・メルヘム報道官は、「最初に到着した約9万回分のワクチンは協定で定めた仕様をクリアしていなかったため、モハマド・シュタイエ首相は保健相に協定を取り消すよう指示しました」と述べたという。「政府は間もなく期限切れを迎えるファイザーワクチンの受け取りを拒否しました...」

メルヘム報道官は、「私たちはファイザー社と直接契約した線量の到着を待つ」と付け加えた。

成人人口の約85%にファイザーワクチンを提供し完全復活を果たしたイスラエルは、「ガザ地区とヨルダン川西岸に追いやったパレスチナ人約450万人とワクチンを共有していない」という厳しい非難に直面している。

G7を含む裕福な国はコロナワクチンを十分過ぎるほど確保しているが、パレスチナやアフリカなどの貧しい国々は接種に苦労しており、完全に置いてけぼりを食っている。G7は先日、貧しい国々にワクチンを提供すると約束した。

13日に発足した保守的な新イスラエル政府は、腐りかけのファイザーワクチン100万回分をアラブ人にプレゼントし、今年9月または10月にファイザー社から納入される同数のワクチンを確保する予定だったが、協定は白紙になった。イスラエル政府は声明の中で、最大140万回分を交換できると述べていた。

2021年6月17日/パレスチナ、ヨルダン川西岸地区のワクチン接種センター(Getty Images/AFP通信)

イスラエルのニツァン・ホロウィッツ保健相は18日のツイートで、「コロナウイルスは国境や人種の影響を受けない」と述べた。「ワクチンの交換は双方の利益になります。私たちはパレスチナ人との協力を望んでいます...」

ナフタリ・ベネット首相の事務所は18日、「イスラエルはパレスチナ自治政府と協定を結び、期限が迫っているファイザーワクチンを約100万回供給する」と述べたが、有効期限は明らかにしていなかった。「私たちはパレスチナ自治政府への提供と引き換えに、今年9月または10月に同量のファイザーワクチンを受け取ります...」

パレスチナの保健当局によると、ガザ地区とヨルダン川西岸の成人で少なくとも1回ワクチンを接種した人の割合は約30%だという。

パレスチナはロシア、中国、UAE、国連とWHOが主導するCOVAXイニシアチブからもワクチン提供を受けている。

ファイザーワクチンの有効期間は通常6か月。イスラエルがパレスチナに提供する予定だった約100万回分の生産時期は明らかにされていない。

しかし、匿名を条件にAP通信の取材に応じたイスラエルの当局者によると、「18日に移管されたワクチンは2週間で期限切れを迎える」と述べたという。当局者は、期限の短いものから準備移管する予定だったと述べた。

国連と権利団体は、イスラエルは占領国として、パレスチナ人にワクチンを提供する義務があると主張している。しかし、イスラエルはこの主張を却下し、1990年代に締結した暫定和平協定通りに行動していると反論した。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。

2021年6月13日/イスラエル、エルサレムの議会議事堂、ヤミナ党のナフタリ・ベネット首相(AP通信/Ariel Schali)

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