◎北はコロナを「悪性伝染病」「謎の発熱ウイルス」などと呼んでいる。
2019年12月/中国と北朝鮮の国境付近に位置する白頭山、白馬に颯爽とまたがる金正恩と妻の李雪主(リ・ソルジュ)氏(朝鮮中央通信社/AFP通信)

北朝鮮の国営メディアは25日、金正恩(Kim Jong Un)党総書記のコロナ勝利宣言から2週間後に中国国境近くでコロナウイルスに感染したと疑われる患者4人を発見したと報じた。

朝鮮中央通信社KCNAによると、朝鮮人民軍は両江道(りゃんがんどう)で「悪性伝染病」に感染したと疑われる患者を4人確認したという。当局は4人から採取したサンプルの遺伝子検査を行い、悪性伝染病かどうかを確認するとしている。

北はコロナを「悪性伝染病」「謎の発熱ウイルス」などと呼んでいる。

朝鮮人民軍はこの地域を直ちに封鎖し、医療当局がウイルスを特定するまで厳しい制限と検疫を課した。

KCNAは当局者の話を引用し、「悪性伝染病に感染した可能性のある患者の容体と地域の状況に注意を払っている」と報じた。

平壌の緊急対策本部は、「優秀な疫学、ウイルス学、検査の専門家を現地に派遣し、疑わしい症例に関係する人物と、対象地域に出入りした人物を追跡・特定し、厳しい医学観察下におく」としている。

キムは2週間前にコロナに完全勝利したと自己宣言し、感染予防対策の緩和を指示。それ以降、KCNAは発熱患者の情報を報じていなかった。

韓国の一部の専門家は、「プライドの高い金正恩がコロナと思われる悪性伝染病の患者が報告されたと公にするとは到底思えない」と首をかしげている。

キムは世界で最も厳しい封鎖措置を導入している中国ですら達成できていないコロナを撲滅するという「奇跡」を成し遂げたと高らかに宣言したが、専門家はこの宣言を「キム家の支配を確固たるものにするプロパガンダに過ぎず、コロナと疑われる発熱患者は全国各地で報告されている可能性が極めて高い」と指摘している。

また韓国の多くの専門家は勝利宣言について、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に移行する狙いがあるとみている。

キムは5月、オミクロン株に感染した患者が初めて確認されたと認め、それ以降、約480万人が「謎の発熱」に感染し、74人が死亡したと報告した。

専門家によると、コロナワクチンを展開せず、公衆衛生設備が欠如している世界で最も貧しい北朝鮮でこの死亡率(0.002%)を達成することは不可能であり、ほぼ間違いなく感染・死者数を操作していると考えている。

キムの強力な妹、金与正(Kim Yo jong)は兄の勝利宣言後、コロナウイルスは隣国韓国が国境付近から北に流した物体(風船)に付着していたと主張し、韓国に責任を押し付け、報復を誓った。

キムの妹は韓国の活動家が飛ばした風船のビラにコロナが付着していたと主張しているものの、韓国はこの主張を「馬鹿」と一蹴している。

韓国の専門家は妹の発言について、核やミサイル実験、国境での小競り合いといった危険な挑発行為を示唆するものと懸念し、米韓合同軍事演習に合わせて何かしらの行動を起こす可能性があると警告した。

米韓演習は今月22日に始まり、9月1日まで行われる予定。

スポンサーリンク